_2 ページ7
白い壁に囲まれた空間にいるお母さんは、テヨンくんたちがテヨンくんたちのお父さんに助言してくれたのもあって今は専門の施設にいる。テヨンくんたちのお父さんは、この世界ではトップに近い人みたいなんだけど、そんな風に思えないくらい温かい人だった。突然現れた私を嫌な顔せずに受け入れてくれたし、お母さんも私を本当の娘のように可愛がってくれている。私にも幸せな日々はあったのに、初めからこの2人が本当の親だったら、なんて思うことも少なくはなかった。
「Aちゃん、もう高校生なんだっけ？」
『中学生です、高校生はマーク』
「あ、そっかそっか。マークは大分慣れた感じかな」
『……多分。最初の頃は帰って来てずっと泣いてたけど、最近はそれが少なくなりました』
白い壁に向かって話しかけているお母さんを見つめていたら、いつの間にかお母さんの担当医のテイルさんがやって来た。テイルさんは病室だというのにぼりぼりお菓子を食べ初めて、呑気に欠伸をしながら「初めはみんなそんなもんだよ」と笑った。テイルさんの家系とは昔から繋がりがあるらしく、テイルさんは私よりお家のことに関して詳しそうだった。「人の心は脆いからね」壁に謝り出したお母さんに注射を打つと「今日はもう帰りな、迎えはもう呼んだから」と私を一歩後ろに下がらせカーテンを閉めた。
『マーク！』
「ヒョンが、Aが眠いってぐずってるから迎えに来てって」
『眠くないしぐずってもないよ』
私よりもマークの方が眠そうだ。マークは15歳の誕生日を迎える前日、祝ってくれるのは嬉しいけれど15歳にはなりたくない、と私に初めて弱音を吐いた。理由は分かっていたけれど、それについては何も分からない私は何も言えなくて、涙を流すマークと一緒に静かに泣いた。あの日から1年ほど経ってマークは大分夜の仕事に慣れたみたいだけれど、勤め始めたばかりの頃は帰ってきたらすぐに私の部屋に来て、ベッドに潜り込み私を抱き締めて、静かにひとしきり泣いたマークは7時頃自分の部屋に戻っていった。マークは私が寝たふりをしているのに気付いていなかったと思う。そうでなければ、あんな弱い姿を見せるはずがないから。
『なんかマークの顔見たら眠くなってきた』
「なんでだよ」
『寝るからおんぶして』
嫌がりながらもしゃがんでくれたマークに思い切り飛び乗る。「意外と重いな」と女の子が1番口にして欲しくないことを言い放ったマークの声は、少しだけ震えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 951人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cafe(プロフ) - ハラハラしつつも、日常の中に見えるクスッと感がたまらなく好きです！（個人的にドヨンの溢れ出る主人公への愛とジェヒョンの静かなシスコンの対比が大好物です笑）。筆者様のペースでこれからも更新頑張ってください！続きも楽しみにしています。 (5月4日 18時) (
レス) @page30 id: 509f3fa889 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 面白すぎる！素敵な作品です(*'▽'*) (5月1日 21時) (レス) id: 272efde30c (このIDを非表示/違反報告)
cooky(プロフ) - 続き楽しみにしております！ (4月28日 22時) (レス) @page28 id: 55ebdcbd41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴおん | 作成日時：2024年3月19日 8時
