2 ページ5
「A聞いて、お友達にどこに住んでるかって聞かれたらソウルとしか答えちゃいけないよ」
私は勉強ができなかったからマークたちにある程度のことを教えてもらってから学校に行くことになったんだけど、お友達が出来るかもしれないと浮かれていた私に、テヨンくんは真剣な表情で伝えてきた。そのときのテヨンくんは冷たくて鋭い雰囲気だったから頷くことしかできなくて、学校の宿題をやっていたマークは少し緊張気味に鉛筆で答えを記入していたのを覚えている。
このお家が普通じゃないということは私もなんとなくは気付いてた。優しくてのんびり屋のテヨンくんと、私をこれでもかってくらい甘やかすジェヒョンくんは夕方まではお家にいて、暗闇に染まると出掛けていく。そして帰ってくるのは朝方で、たまにだけどお家の中が仄かに血の匂いがすることもあった。極めつけに『なんか鉄臭いね』遠回しにマークに伝えたら、顔を真っ青にしてどこかに向かったマークを見て、たぶん私に知られたくない何かがあるんだろうというのは、なんとなく察していた。
『テヨンくんたちは普段何をしているの？』
久しぶりに皆でご飯を食べているときに聞いたらさすがにもう隠し通せないと思ったらしく、このお家のことを教えてもらえた。マフィアやギャングとは違うんだけど、そっち寄りの世界で生きている家系なのだと、もうここからは抜け出せないのだと、簡単にだけど説明するとそんな感じだった。15歳までは基礎を学び、15歳からは実際その危険な場に行くようになるって。
『15歳ってことはマークは……』
「うん、来年」
どうしてこんなのも分からないんだと言いながら勉強を教えてくれるマークが、そんなことをする想像なんてつかないし、もっと言えばテヨンくんとジェヒョンくんも、このご飯を食べてからそういうことをしに行くなんて信じられない。『…………』「僕たちのことが怖い？ 」テヨンくんは私の頭を撫でて聞いてくる。『怖くないよ』考えずに口から飛び出してきたことは私の本心で、それを聞いた3人は安心したように笑った。
『じゃあ、私も？』
「や、そんなのは俺がさせない。Aはずっと俺とヒョンたちが守るから」
マークはそう言うと私の頬に口付ける。ここに来てから毎日されるようになったそれは、カナダで育ったというマークはただの挨拶だとあっけらかんとしているけれど、私はそれが顔から火が出るんじゃないかってくらいいつも恥ずかしかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 947人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cafe(プロフ) - ハラハラしつつも、日常の中に見えるクスッと感がたまらなく好きです！（個人的にドヨンの溢れ出る主人公への愛とジェヒョンの静かなシスコンの対比が大好物です笑）。筆者様のペースでこれからも更新頑張ってください！続きも楽しみにしています。 (5月4日 18時) (
レス) @page30 id: 509f3fa889 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 面白すぎる！素敵な作品です(*'▽'*) (5月1日 21時) (レス) id: 272efde30c (このIDを非表示/違反報告)
cooky(プロフ) - 続き楽しみにしております！ (4月28日 22時) (レス) @page28 id: 55ebdcbd41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴおん | 作成日時：2024年3月19日 8時
