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こんなにいい靴を履いて……お母さんが私の靴を脱がせようとしたからそれを拒むと、頬に一発ビンタをされた。鼻からも口からも血が出てきて頭はぐらんぐらんするし、私はどうなってしまうのだろうか。ぼやける視界の中、私の脳に浮かんできたのはマークの笑顔で、私が抵抗しなくなったことを確認するとお母さんは靴を脱がせた。「売ったらいくらになるかしら」と靴を片手に笑っているお母さんの隙を見てそれを奪い取ると、お母さんは顔を真っ赤にしてまた怒ってきたから、追い付かれる前に来たばかりの家から逃げ出した。たぶん、お母さんより私の方が足が早いし、お母さんは身なりを整えないと家から出られない人だから追ってはこれないだろう。
私が行く先なんて1つしかない。綺麗にしてもらったばかりなのにまた汚くなってしまい、呆れられるかな、それとも今度こそ怒鳴られるかな、なんて思いながら走っていたら「A！」と私に向かって走ってくるマークがいた。
「ああ、かわいそうに、大丈夫？痛かったよね？」
『……ごめん』
「どうして？」
『靴に血が付いちゃった。ジェヒョンさんがせっかく買ってくれたのに』
「いいんだ、そんなのは」
胸にしっかり抱えていたせいで、靴には私の血が垂れてしまっていた。マークはハンカチで私の顔を優しく拭いてから「これからは家に住む？」と、信じられない提案をしてきた。「ヒョンたちもいいって言ってる、父さんも反対はしてない。母さんは娘ができるって喜んでる。ね、悪くないでしょ？」にこり、そんな効果音がぴったり合いそうな笑顔を浮かべ、私が頷くよりも先に「帰ったら部屋を決めなくちゃね」と、また私の手を引いた。
『……お母さんが』
「…A、お母さんは大人だよ。なんとかなるよ、けどAは子供なんだから、あそこじゃ生きていけないよ」
マークはまるで私の家庭事情を知っているかの口ぶりで私を諭す。思えば、どうしてマークが家の近くであるここにいるのかも不思議ではあったけれど、それを言及したところで教えてくれないだろう。
「A、今日から俺たちは家族だよ」
同い年だと思っていたマークは私より1つ上だったらしい。そしてやたらと広いこの家は、普通の家と少し違っていた。日が当たってはいけない、裏の世界に精通していると私が教えてもらったのは、中学生になってからだった。
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cafe(プロフ) - ハラハラしつつも、日常の中に見えるクスッと感がたまらなく好きです！（個人的にドヨンの溢れ出る主人公への愛とジェヒョンの静かなシスコンの対比が大好物です笑）。筆者様のペースでこれからも更新頑張ってください！続きも楽しみにしています。 (5月4日 18時) (
レス) @page30 id: 509f3fa889 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 面白すぎる！素敵な作品です(*'▽'*) (5月1日 21時) (レス) id: 272efde30c (このIDを非表示/違反報告)
cooky(プロフ) - 続き楽しみにしております！ (4月28日 22時) (レス) @page28 id: 55ebdcbd41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴおん | 作成日時：2024年3月19日 8時
