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『A』
「A、そうか、いい名前だね。ところでAはそんな格好で何をしてるの？」
雪が降っているのに裸足でよれたTシャツ、ぼさぼさの髪の姿を見たら誰だってそう思うだろう。お母さんに追い出されたと素直に話すと、マークは少し考える素振りをした後「それなら少しの間、家に来る？うん、そうしよう、それがいいや、ね？」返事をしていないのにマークは私の手を引いて歩き出す。男の子と手を繋いだのなんて、幼稚園のときにしたレクリエーション以来だったから恥ずかしかったけれど、久しぶりに感じた暖かさに自然と涙が出てきた。「うちのご飯おいしいんだ。それを食べたら、お母さんに会いに行こう」マークはそれに触れることなく、きゃっきゃと笑い鼻歌まで歌い出した。偶然にも私が眠れないときにお父さんがよく歌ってくれていたものと同じ歌で、私の涙はさらにこぼれてくる。「泣き虫だね」マークは自分が着ていたコートを私に着せて、服の裾で私の涙を拭いてくれた。
「ここ？」
「うん、ここ。顔は怖いけどみんないい人だよ」
マークが家だと言って連れてきたのは、お父さんに「ここには立ち寄るな」と言われていたお屋敷。大きすぎるお家にはどんな人が住んでいるんだろうと気になっていたけれど、まさか目の前のマークだったなんて。「ただいま〜」マークが玄関を開くと、ばたばたと人がやって来て、その人は私を見ると顔をしかめた。
「Aだよ、俺の友達」
『………………こんにちは』
「こっちは俺のヒョン」
『兄弟？』
「うん、血は繋がってないけどね」
ぽんぽんと適当に靴を脱いだマークを怒ったお兄さんは、さっきと別人なんじゃないかと思うくらい優しい顔をして「寒いでしょ？あがっていいよ」と私に声を掛けてきた。お兄さんが言うように寒いからあがりたいんだけど、裸足で汚れているだろうからどうしようか迷っていたら、それに気付いたのかお兄さんは私を担いで「まずは足を洗わなきゃね」とそのまま奥に向かっていった。
「Aちゃんはいつからマクと友達なの？」
『……今日です、お家追い出されたって話したら、おいでって』
「そっかそっか」
ついでにお風呂入っちゃっていいよ、と言われたからその言葉に甘えてお風呂に浸からせてもらい、お兄さんーーテヨンさんに髪を乾かしてもらった。「さすがに1人で入れるよね？」困った顔で尋ねてきたテヨンさんは、年上とは思えないくらい可愛かった。
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cafe(プロフ) - ハラハラしつつも、日常の中に見えるクスッと感がたまらなく好きです！（個人的にドヨンの溢れ出る主人公への愛とジェヒョンの静かなシスコンの対比が大好物です笑）。筆者様のペースでこれからも更新頑張ってください！続きも楽しみにしています。 (5月4日 18時) (
レス) @page30 id: 509f3fa889 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 面白すぎる！素敵な作品です(*'▽'*) (5月1日 21時) (レス) id: 272efde30c (このIDを非表示/違反報告)
cooky(プロフ) - 続き楽しみにしております！ (4月28日 22時) (レス) @page28 id: 55ebdcbd41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴおん | 作成日時：2024年3月19日 8時
