安室透の前で盛大にこけるところから始まる話

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「またですね」
『何がですか』
「顔が赤くなってます」
『えっ、嘘』
「本当です」

にこにこと楽しそうに笑う安室さん。
何だろう、なんかムカつくな。
私ばっかり振り回されてて面白くない。

『……安室さんが悪いんです』
「は？」
『何気に私がタイプの顔だし、自然に笑う姿がかっこいいし、実は優しいところもあるし、探偵やって人のことを助けて寝不足になるまで一生懸命働いてるって分かったし………って何言ってるんだろう私。すみません。今の忘れてください』

うわ、何言ってるのよ。
こんなこと言って自爆してるだけじゃない。
こんなのだから安室さんに振り回されるのよ。

恥ずかしすぎて下を向いたが、安室さんが話しかけてくる気配は少しもない。
どうしたのだろうと顔を上げると、少し顔を赤らめた安室さんがいた。

『えっ。どうしたんですか』
「いえ、ちょっと。急なデレがきてちょっと対処が…」
『…………もしかして、照れてます？』
「照れてません」
『いや、照れてますよね？顔が赤いですよ？』
「照れてません」
『照れてます』
「照れてないです」
『照れてる』
「…ちょっと黙ってくれません？」

そう言って安室さんは顔を隠した。
なにそれ、可愛い。
安室さんが照れるなんてめっちゃレアなんじゃないかな？
ちょっと嬉しい。
たまにはデレるのもいいかもしれないわね。

「……あなたは…」
『え？』
「あなたはかなり失礼で頑固です」
『え。なんで貶されてるの私』
「でも…たまに優しさがあったり、稀にデレたり、実は不意打ちに弱かったりするところは、僕は結構好きですよ」
『は………』

少しはにかんだように笑う安室さん。
ぽぽぽと頰に熱を持つ私。
なにこのイケメン。
急になんなの。ちょっと待ってよ。
こんなに照れる予定じゃなかったのに。
照れた安室さんを見た後は、涼しい顔をしてかっこよく立ち去る予定だったのに。
嘘でしょ。調子狂っちゃうなんて。

「ははっ。照れてますね。りんごみたいに真っ赤ですよ」
『……………うるさいです。早く戻らないと梓さんに怒られますよ？』
「そうですね。そろそろ戻ることにします。また、ポアロに来店されるのを楽しみにしています」
『…ポアロに行くのは梓さんのためです』
「そこは僕に会いに行きますとデレて欲しかったですね」
『……別に安室さんに会ってあげてもいいです』
「ふはっ。ありがとうございます」

笑って帰っていく安室さん。
何よあのイケメン。
どうしてこんなに振り回されるのよ。

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