検索窓
今日:161 hit、昨日:304 hit、合計:960,970 hit

ページ6

『……まじか』
「何がですか」

コーヒーを飲み終わり、車で送ってもらっている最中。
ボソリと呟いたはずの言葉が実はしっかりと聞こえてたらしい。

『私、車とかよくわからないですけど、この車って絶対高いですよね』
「普通だと思いますけど」
『じゃあ、あなたの普通の定義がおかしいですね』
「………」

再び黙る安室さん。
そうやって黙ってこっちを見られるのが一番怖いって分からないのかな。
ってあれ?

『安室さん、目元にファンデーションつけてます?』
「っ!?……何のことですか?」
『そこまで動揺しておいてとぼけるのは苦しいですよ』
「……つけてます」
『趣味ですか?』
「違います」
『………』
「そんな目で見ないでください。違いますから」

だって男性でファンデーションしてる人なんて初めて見たもの。
趣味じゃなかったら何があるわけ。

『趣味じゃなかったら何ですか』
「………………………………………………」
『やっぱりしゅ「違います」…じゃあ、何故ですか』
「…少しくまを隠そうと」
『…寝不足なんですか?』
「まぁ、そうですね」

歯切れ悪く答える安室さん。
イケメンだから色々と楽な道を進んでるのかと思いきや、結構苦労してるのね。
たしかに私立探偵なんてしてたら、尾行とか張り込みとかして不規則な生活になるのかな。
いや、それをするのは警察か。

考え事をしながらぼーっと外を眺めていると、いつのまにか会社の前までついていた。

『ありがとうございます。助かりました』
「いえいえ。もう転ばないように注意して歩いてくださいね」

にこりと笑った安室さんに善処しますと答え、別れようとしたが、あることを思い出しとどまった。

『安室さん、これどうぞ』
「…ホットアイマスク?」
『寝不足なら、せめて目の疲れだけでもそれでとってください』
「………」
『何ですかその目は』
「意外に優しいんですね」
『意外にって失礼だな、おい』

今度は私がジロリと睨む。
それを安室さんは何でもないような顔をして流した。
嘘でしょ。私が睨んだら結構怖いはずなんだけど。

「ありがとうございます。使わせてもらいますね」
『……っ』

嬉しそうに自然に笑った安室さん。
それがかっこよくて一瞬息を飲んだ。
安室さんが笑うだけでかっこよく見えちゃうなんて、私どうかしてるわね。
やっぱりイケメンだからでしょうね。
イケメン罪だわ。

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (614 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1795人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

はりねずみ。(プロフ) - 由羅さん» 神だなんてもったいないお言葉です……!ありがとうございます! (2020年3月15日 17時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)
由羅(プロフ) - 神、神ですね……神としかいいようがないです (2020年3月10日 14時) (レス) id: a829207c12 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - 笑々さん» ありがとうございます!!笑っていただけて嬉しいです!私自身、そんな感じの会話が大好きなので、安室さんたちにもやってもらいました笑 ありがとうございます! (2019年10月10日 23時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
笑々(プロフ) - 名前を呼ばせるところで、早すぎだろなんか腹立つな は声をあげて笑いました笑 ありがとうございます笑 (2019年9月23日 10時) (レス) id: f052978bd7 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - ここねさん» きゃー!ありがとうございます!!とても!すごく!本当に嬉しいです!!続編でも面白さとキュンキュンを追求してお話を進めれるように頑張りますね!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 17時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はりねずみ。 | 作成日時:2018年12月12日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。