安室透の前で盛大にこけるところから始まる話

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「ロリコンってどういうことですか」
『イケメンは認めるんですね』
「……僕はロリコンなんかじゃないですよ」
『えー、嘘だぁ』
「喧嘩売ってます？かいますよ？」

めちゃくちゃ笑顔で言ってきた安室さん。
私に睨むことが効かないとわかったからか、笑顔で毒吐く作戦にシフトチェンジしたわね。

『女子高生にメロメロだったじゃないですか。あんなにニコニコ嬉しそうに笑っちゃって』
「メロメロじゃないですよ。大切なお客様ですから笑顔なのは当然です」
『嘘よ。だって私と話すよりとっても楽しそうだったもの』
「え？」

私の言葉に目を見開く安室さん。
あれ…？いきなり何言ってるのよ、私。
こんなこと言ったらまるで……

「もしかして、やきもちですか？」
『っ！？ち、違います！！』
「怪しいですね。素直になってもいいんですよ？」
『だから違うって言ってるじゃないですか！！』

私の顔を見てくすくす笑う安室さん。
違うって言ってるじゃない。
そうよ、違うわよ。
私がやきもちなんてやくはずがないじゃない。
それなのに…どうしてそんなに嬉しそうに笑うのよ。

「ははっ。大丈夫ですよ。安心してください」
『いきなり何ですか。何がですか』

空っぽになったお皿を下げるため、安室さんの手が後ろから伸びてきた。
そして何故か私の耳元に彼の顔がある。
なんでそんなに近いのよ。
安室さんはイケメンだからなんだかドキドキしちゃうじゃない。

「顔が赤いですよ。照れてます？」
『距離感がおかしいからです。離れてください』
「ははっ。素直になったらいいのに、頑固な人だ」
『意味わからないです。とにかく離れて』
「僕はあなたが一番、話をしていて楽しいですよ」
『は……』

私が固まってるうちに安室さんはお皿を下げて行ってしまった。
え？何それ。どういうことよ。
どうしてそんなこと言ったのよ。

自分の頰を触ってみるとそこは熱をもっていて、居ても立っても居られなくなって、梓さんにお会計を頼んでポアロを出た。

何よ何なのよあのイケメン。
あんなこと言うなんてどういうつもり？
それに私もどうしてこんなにふわふわしてるのよ。
おかしいじゃない。
せっかく梓さんと仲良くなるために行ったのに、お友達になっただけでほとんど進展ないじゃない。
きっと私は疲れてるのね。
帰って寝よう。そうするべきだわ。
こんなドキドキするなんて、安室さんがイケメンだからに決まってる。

うるさい鼓動をかき消すように、米花町の町をスタスタ歩いた。

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