※番外編 ページ40
*
「ほう?なにもかもうまくいかなくて、疲れたし、しんどいし、もうどうにでもなれと思って走るのをやめて立ち止まったと?」
『その通りでございます安室様』
「アホかお前は」
『うぐっ…』
グサリと突き刺さる安室さんの言葉。
いや、うん。分かってるわよ。
自分でも、あの時立ち止まるなんて命知らずということは分かってる。
でも、もうしんどくてしんどくて。
アッ、ハイ。ごめなさい。反省してるのでそのベビーフェイスで睨むのをやめてください。
シャワーを借りて、安室さんの服まで借りて、正座する私と、ベッドに座って足を組んで見下ろす安室さん。
ゴリラに睨まれた人間とはまさにこのこと。
あ、違うわ。間違えた。
蛇に睨まれた蛙ね。
「もし、あの場に俺がいなかったらどうするつもりだったんだ」
『…ゲームオーバーかな?』
「あ゛?」
『いえっ!!なんでもありませんごめんなさい!!』
怖っ!
何このイケメン、めっちゃ怖い。
ポアロでの安室透はどこに行ったのよ。
出張ですか?海外に出張中ですか?
今だけでいいから戻ってきて。
「…はぁ。まったく…」
『……もしかして、心配、しました?』
「当たり前だろう。心配しないはずがない」
『……』
やばい。
今、安室さんに史上最高のデレがきてる気がする。
そっか。心配してくれたのね。
そうかそうか。そうかそうか。
「何ニヤニヤしてるんだ。反省してないだろコラ」
『してますしてます。反省してる』
「…………」
『何ですかその顔は。疑ってるんですか。信用してくださいよ』
「信用ならん」
『うわひどい』
そう言いながらもにやにやしてしまう私。
これはダメね。
心配したって言われてすごく嬉しいなんて。
あー、もう。
今日はたくさん災難にあったはずなのに、それすらもどうでもよくなっちゃうなんて、どうかしてるわね。
「いい加減その顔やめろ」
『えー。反省してるんだからいいじゃないですか』
「それのどこが反省してる顔なんだ。楽しんでるだろ」
『ふふっ。楽しみながら反省してるんです』
「それは反省してるとは言わない」
『大丈夫ですよ。次は絶対しないですから』
「何が大丈夫なんだ。当たり前だろ。次なんてあってたまるか」
再び大きなため息をつく安室さん。
でも、そのため息さえもなんだか嬉しくて。
絶対、今日の私はどうかしてる。
何よこれは。
愛しいと思うなんてきっとなにかの間違いよ。
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はりねずみ。(プロフ) - 由羅さん» 神だなんてもったいないお言葉です……!ありがとうございます! (2020年3月15日 17時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)
由羅(プロフ) - 神、神ですね……神としかいいようがないです (2020年3月10日 14時) (レス) id: a829207c12 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - 笑々さん» ありがとうございます!!笑っていただけて嬉しいです!私自身、そんな感じの会話が大好きなので、安室さんたちにもやってもらいました笑 ありがとうございます! (2019年10月10日 23時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
笑々(プロフ) - 名前を呼ばせるところで、早すぎだろなんか腹立つな は声をあげて笑いました笑 ありがとうございます笑 (2019年9月23日 10時) (レス) id: f052978bd7 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - ここねさん» きゃー!ありがとうございます!!とても!すごく!本当に嬉しいです!!続編でも面白さとキュンキュンを追求してお話を進めれるように頑張りますね!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 17時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はりねずみ。 | 作成日時:2018年12月12日 7時