ファン ページ17
"ﾌﾞﾌﾞｯ…ﾌﾞﾌﾞｯ…ﾌﾞﾌﾞｯ…ﾌﾞﾌﾞｯ…"
のんちゃんのズボンでずっと震えてるスマホ
鳴り止まないそれにもう時間がないと知らされる
桃「はぁ…せっかく会えたのにもう行かな…」
悲しそうなその表情にまたドキッとする
なんなん。なんでそんなに俺を沼に落とすん。
ほんまは行きたくないん？
都合のいいように働く頭に、お花畑やなぁ、なんて思ったりして
桃「あ…これ！」
「え？」
桃「よかったら、連絡ちょうだい…？」
サッと渡された紙
そこには電話番号とメアド、そしてラインのIDまで
「これって…」
桃「ま、待ってるね？// そ、それじゃあ！//」
「あ…！」
個室の扉を開けて出ていくのんちゃん
たまたま人もおらんかったしのんちゃんのことはバレてへんと思う
でも、そんなバレる、バレへんの前に…
「え…やばっ…」
俺の手の中にある一枚の紙切れ
物だけで考えれば大したことないのに、書かれてあることは大事なことすぎる
俺から聞いてへんよな？
のんちゃんの方から渡されたよな？
しかも…
"待ってる"
まじか…
まじか…！！
これって、俺、脈ありだったりしちゃう！？
のんちゃん、俺に興味あってわざわざ連絡先渡してきた感じ！？
これまでに何度も一方的に連絡先渡されたことはある
それでも連絡したことなんて一度もなかった
でも今回ばかりは…
「イベント終わったら連絡しよ」
連絡先の登録だけ全て済ませて俺は紙切れを破いて捨てる
失くしてそこら辺に落とすこともできへんほど大切な物
失くし癖のある俺にはずっと持ち歩くなんてことできへんから素早く登録して捨てる方が良い
"好きな人"
登録名もバレへんように変えて、俺は幸せな気持ちを胸に客席へと戻る
ふっ笑 こんなに後ろの方におっても、のんちゃんは今日も俺を見つけてくれるんや
さっき場所はバレたはずやし、なにより俺らは連絡先で繋がってもうたからな
そんな優越感に浸りながら俺はイベントの開始を待つ
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作者名：まかろん
| 作成日時：2023年7月8日 23時
