2 ページ23
+
「あぁー、いい匂い…お腹すいた。」
「まだ早いって。」
「でもええなー、こう出来上がるって時の甘い匂い。」
「そうやな、上手く出来てるとええな。」
「俺のだけおいしなかったらどうしよ。」
「大丈夫やって、のんちゃんは上手い方やから。」
備え付けのオーブンで焼いている間、甘いいい匂いがしてきた。腹が鳴りそうになったが、我慢我慢。お菓子作りは大変やけど、出来上がる時の匂いはすごく好き。でも不安は不安。美味しくなかったらどうしよって、神ちゃんやから心配いらんけどな。
「ええやん、綺麗に焼けたな。」
「ホンマや、さすが神ちゃん。」
「のんちゃんが作ったやつやろ。」
思いの外綺麗に出来上がっていた。
神ちゃんのと比べたら、歪なものはあるけれどもひとつ味見してみた。やっぱ美味しいなー、甘いもんって食べると幸せやわ。
「これ、のんちゃんの分な。」
「いいん?こんなに貰っても。」
「言ったやろ、代わりにのんちゃんのは俺が貰うって。交換やね。」
「え、ホンマに神ちゃんが食べるん?」
「だって、そういう約束やろ?」
「そうやけど…。」
「大丈夫、しげと流星には俺からあげとくし、悪いことないやん。」
「…うん。」
無理やり過ぎない?って言いたくなった。でも約束は約束。作った半分は神ちゃんにあげると、すごく喜んでいた。神ちゃんの手には赤い袋と青い袋にラッピングされたクッキー。あれが二人に渡すやつか。
まぁ、神ちゃんから渡したら確実やし、これで流星も文句言わんと思う。
+
118人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:律斗 | 作成日時:2019年7月3日 17時