“好き”の色【テニプリ】

マフラー【忍足謙也】 ページ44

『＿＿＿謙也。それって新しいマフラー？』
「おん、そうやで」
もうすぐ冬真っ盛り、という季節の放課後。
一番真っ先に目に入ったのは、隣の席であり、幼なじみの謙也のマフラー。
あれ、昨日までは違うマフラーを着けてたのにな……と思って、帰り道の途中に私は聞いてみた。
案の定、新しいマフラーだったらしい。

「これ、彼女が手編みで作ってくれたんや。昨日突然大阪に来てくれてな……」

ああ、また始まった。謙也の彼女自慢。
謙也には遠距離の彼女がいる。
それを知っているのは、私だけ。白石にも言ってないらしい。
だからこそなのか。いつも惚気を聞かされる。

「＿＿＿でな……A、聞いとるか？」
『うん、聞いとるで』
「そうか！じゃあ続けるな。これな、俺に好きな色の赤と白で作ってくれたらしくて……」

もう耳を塞ぎたい。
こいつの彼女自慢は何度目だろうか。
耳に穴ができそうだ。
それだけではない。
私は、謙也の事が＿＿＿

あーあ。もし、私が昔告白してたら……
マフラーを渡すのは、私だったのかな。

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