歌姫と魔法【跡部景吾】 ページ33
「___ただし、お前の歌声と引き換えだ」
悪魔から告げられた、その言葉。
“ずっと恋人でいたい。”
そう願った、あの時から。
だけど私は、想いを言ってはいけない。
彼には、婚約者がいるのだから。
私なんか、全然不釣り合い。
強いて挙げられる特技なんて、「歌」だけ。
小さい頃から歌うのが好きで。
ずっと歌ってきた。
いつのまにか私は、「天才」と称されるまで上手くなっていたらしい。
そんな時、彼から声がかかって。
私達は恋人になった。
だけど知る事になる。
世の中の理不尽さを。
『……いいわ。それでも、彼と一緒にいたい』
「そうか……なら、その彼に伝えてきな」
『ええ』
『景吾、私……もう二度と歌えない』
私は彼の元に行き、そう言った。
「は?どうしてだ!?」
『貴方には婚約者がいるのでしょう?でも私はずっと景吾と一緒にいたい。その引き換えに、私の歌声が奪われるの』
「他に方法はないのか……?」
『……私が泡になって、消えるしかないのよ』
「それは駄目だ。お前が消えるのなら、俺も消える」
『という事で、私の歌声を奪うしか方法がないの』
「……仕方ねえな。だが、たとえ歌声がなくなっても、俺はお前を愛し続ける」
『私もよ、景吾』
「……どうやら出来たようだな」
話がついた途端、悪魔が現れる。
『あ……ええ』
「じゃあ、奪うぞ。覚悟はいいか?」
『……はい』
悪魔が私に向かって鎌を振ると同時に、私の中から何かが消えたような感触があった。
『……』
「もう、歌えないか?」
『……ええ。歌おうとしても、声が出ないの。だけど会話なら普通に出来るから、生活に支障はないわ』
「そうか…」
『……婚約者の人は?』
「問題ない。お前の歌声と引き換えに、婚約者はいなくなった」
悪魔はその言葉を最後に、消えた。
『これで、ずっと恋人でいられるのよね?』
「ああ」
景吾は笑った。
『良かった……』
___貴方と一緒にいられるのなら。
歌声を捨てても、構わない。
ピアノに乗せて【鳳長太郎】→←crime and punishment【仁王雅治】
14人がお気に入り
「テニスの王子様」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
spark(プロフ) - ちろさん» ありがとうございます!自分で書いててマジで柳さんが王子様に見えてきた…///これからもリクありましたらじゃんじゃんお願いします! (2019年1月1日 14時) (レス) id: 90c4c16584 (このIDを非表示/違反報告)
spark(プロフ) - ももいちご。さん» 大丈夫です!ボードなら見れますので、待っています! (2018年12月30日 11時) (レス) id: fff401854f (このIDを非表示/違反報告)
ももいちご。(プロフ) - sparkさん» ボードじゃダメですか?こちらだと少し言いにくいので…… (2018年12月30日 11時) (レス) id: ade25ba987 (このIDを非表示/違反報告)
spark(プロフ) - ももいちご。さん» すみません!コミューを見たのですが、どこにも無くて…!長くなっても構いませんので、こちらのコメ欄にて感想、お願いします! (2018年12月30日 11時) (レス) id: fff401854f (このIDを非表示/違反報告)
spark(プロフ) - 了解です!今見ますね! (2018年12月30日 11時) (レス) id: fff401854f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:spark | 作成日時:2018年12月6日 18時