“好き”の色【テニプリ】

操り人形【仁王雅治】 ページ4

「＿＿＿なあ、高梨、いいじゃろ？」


その言葉一つで、私の人生の歯車は大きく狂わされた。
まるで、糸を引かれる操り人形のように。

中学を卒業して10年。
私はある人と婚約して、同棲していた。
だが、ある日、“彼”は現れた。


仁王今日、暇か?暇なら、飲みに行かんか?


仁王。
中学時代の同級生。
クラスも部活も同じ、という事もあってか、彼とは仲が良かった。

(飲みに行くくらいなら、いいか……)
そう考えた。


甘かった。
中学時代、彼の異名を忘れていた。

「コート上の詐欺師」

そして私は、彼の問いにこう答えた。
否……答えてしまった。

『……うん、いいよ』
「決まりじゃな。じゃあ行くぜよ、……A」

普通なら、ありえないだろう。
婚約者もいて、数週間後には挙式するというのに。
だけど私は、操られてしまった。
仁王という男に。

飲み屋を出て連れていかれたのは、仁王の家。

(ああ、また操られる……)

悟ってしまった。
仁王の、私に対する気持ちを。

私は仁王の家で、キスをしてしまった。

そして今、私は結婚した。
彼のことは好きだ。この気持ちに偽りはない。

だけど私は、今日も仁王と。

世間から見てこれは“浮気”だろう。
浮気？
そんなわけない。
だって仁王と私は、
今までも、これからも、


友達なのだから。

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