“好き”の色【テニプリ】

最後だから【幸村精市】 ページ23

「人がいっぱいだね」
『そうだね、精市』
今日は大晦日。
俺たちはお参りをしようと、神社へやって来た。
だけど……
『人が多すぎて、前に進めないよ……』
「そうだね……じゃあ、別の場所へ行こうか」
『うん、そうしよう』
俺は彼女の手を引っ張って、人々と真反対の方向へ進む。
そして、着いた場所は。

『わあ……月が綺麗……』
「ふふ……それって、告白の言葉として受け取ってもいいの？」
『あっ、ち、違う！本当に月が綺麗だと思ったから……』

そう言いながら、顔を赤らめる彼女。
可愛いな。
素直に、そう思った。


言うなら、今だ。


心の中の俺が囁く。

「……A」
『え？何？』
「俺と……別れてほしい」
『……え？』

彼女の顔が、歪む。
こんな表情、俺も見たくない。

「……きみの事は嫌いになんかなってない。むしろ好きだ。大好きだよ。だけど、これ以上きみを悲しませたくない」
『……なら、どうして……？』

涙をうっすら浮かべて、きみは問う。
もうこれ以上、見たくない。

「これが君にかける、最後の魔法さ」

彼女の唇に、唇をそっと重ねる。

「……じゃあね」

＿＿＿そう告げたまま、彼女に背を向けた。



ーーー
takiさん、87使わせて頂きました。
ネタ提供、ありがとうございました！

特別な歌【丸井ブン太】→←千歳のお誕生日！（お知らせも！）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す