2話 ページ3
早朝の日差しを浴びて、少女もとい、夜美Aは朝練に励むテニス部を遠くから眺めていた
夜美は、テニス部のマネージャーをしている
あの奇妙な力に気付いてからは、全く顔を出さなくなった
即ち、『幽霊部員』と言うことになるのだろう
それからと言うもの、彼女はテニスコートを眺めるのが日課となった
A「私、バカみたい……」
夜美はそう呟くと、そそくさと校舎の中へと歩いていった
男1「なあ、知ってるか?
最近テニス部のマネージャーが来なくなったって話」
男2「知ってるけど、それ去年からの話だぞ?」
男1「え、そうなの!?」
男2「そうだよ
そう言うのは、ちゃんと確かめてから話してくれよ」
教室前の廊下で、2人組の男子の話し声が聞こえてきた
噂になっているのもしょうがないか、と心の中でため息をこぼす
あの人にだけは、この力のことは知られたくない
夜美の心はその一心だった
部内にいる、思いの寄せている少年
彼にだけはこの力のせいで気持ち悪がられたくないのだ
彼女は迷っていた
自分の力を知られることと、幽霊部員になることを天秤にかけていた
どちらにも大きなリスクが着いている
それを知った上で迷うしかなかった
結果、彼女が取ったのは幽霊部員になることだった
夜美は、彼らを信用出来ていないのかもしれない
だから秘密にしてやり通すと言う気持ちが芽生えたのだ
そっと、自分自身の教室に入り机に触る
誰にも気付かれないように静かに、静かに
誰も彼女に気付かない
それが、どこか寂しいような嬉しいような
曖昧な気持ちが渦巻いていく
どうか、誰も気付きませんように
早く私を見つけて
矛盾した心が彼女を苦しめていく
本当にこのままで良いのかと…
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