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NO.71 ページ27

奈「……ちょっといい」

強い口調。まるで幸村の言葉を遮るかのように割ってくる。
突然の奈々の言葉に思わず顔を上げる。
その瞳は、少し赤くなっている。

奈々は、泣いている……?


奈「……精市ね、話しかけても気づかない時は絶対Aの事見てるの。付き合ってるのに、私の事なんか眼中に無いみたいに。まるで私が空気みたいな存在なの」

しっかりと、私の方を見据えて言う。


奈「多分、嫉妬してるんだ。Aに……私は、精市からの愛を貰えない」
A「……あ……」
奈「A、謝らないで。私が勝手に嫉妬したんだから……あと、もう1つ」

奈々は制服の袖で瞳の涙を拭い、私をしっかり見据えて言う。


奈「A……私が精市の隣にいる事が、羨ましかった?」


核心を突く質問だった。
確かにそれは当てはまる。
だからこそ、正直に私は頷く。

奈「そっか……私もね、Aの事、羨ましかった」
A「え……」
奈「精市の話題はいつもAの事ばっかり。私の事なんて一言も語ってくれなかった。それに最近いらいらしてた……完全な八つ当たりだよね」

その瞳は、少し悲しげに、切なげに揺れていた。

奈「……ごめん。何かいっぱい言っちゃったせいで気持ちが追い付かないや」
A「奈々……」
奈「次会うときは、お互い本音で話そう!喧嘩もしよう!ちゃんと……友達になろう。なれないかも、しれないけど」
A「……ううん。なれるよ!」

奈々は、涙を浮かべながらも笑顔を見せてくれた。

奈「……精市」
幸村「……うん」
奈「今までありがとう。私と、別れてください」
幸村「……うん」

奈々はそう言い残して、校舎裏を去った。
その時に横顔から流れた涙は、見なかった事にした。

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作者名:spark | 作成日時:2019年2月12日 10時

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