# 拓哉と私。3 ページ46
・
拓哉「でも俺が1番覚えてるんはAが松竹座で転んだ時のあれやなぁ」
「あー、」
入所3年目くらいの時。
その頃はもう自分のファンの子も段々と定着してきていて
アンチする人も少なくなった。
松竹座でshow time中、私がつまづいて転んでしまった。
そしてそのままステージ外へ転落してしまった。
そのまま曲は続けられたけど、ステージ上のメンバーはほとんど曲に集中できていなかったらしい。
そしてたまたま、転落した場所にはファンの方がいて
その方はずっと私をアンチしてくる人やった。
私が出てる曲の時は絶対にペンライトを降らんし、
私が周辺を手振ってもその人は睨んできたりした。
ステージ上から転落したから多少怪我はあって、頭とかは打たんかったんやけど足はもちろん骨折した。
その時はほんまに足が痛くて歩けへんかったから、裏にはけようとしても無理やった。
しかもその人の場所やったから助けたりもせずにただ落ちた私のことを嬉しそうな目で見ていた。
多分…拓哉担やった。
拓哉と私が仲良いのが嫌やったんかもしれん。
曲が終わってすぐ、スタッフがこっちに何人か来て
私の両手を支えて裏へと連れていった。
たまたまその後の曲は私の出ない曲やったから
裏で足を冷やしてもらったりしていた。
でもその人の表情が頭から抜けんかった。
それから足の回復も含めて私はその舞台の出演を休止した。精神的にも辛かった。
もちろんその人だけやなくて、ネット上には「女やからって甘えすぎちゃう」って書かれたり、「舞台中にほかのメンバーに迷惑かけんなや」って書かれたり。
私が怪我したその公演後、病院に着いてきてくれたのはお母さんやお父さんではなく、拓哉と風雅やった。
うちの親はその日たまたま残業の日で帰って来れなかった。
2人はずっと心配そうに私のことを見てて、風雅はもうその時はちょっとずつ毒舌キャラが浸透してきていたのにも関わらず、めちゃくちゃ優しかった。
拓哉「…俺も本気でAのこと好きになりそうやった。」
「…え、そうなん。」
拓哉「うん。でも風雅やなって思った。」
「なんで、?」
'' あの時 、Aが転落したあと、風雅はスタッフに交じってすぐにAを助けに行った。俺は次出演曲やなかったけど何も出来なかったから。ふうさんはAに対して他の人とは違う思いがあるんやなって思った。 ''
・
198人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:pi | 作成日時:2022年1月10日 13時