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私が教室に戻った数十秒後、
阿「すみません、遅れました。授業を始めます。」
さっきの慌てた阿部先生とは思えないくらい落ち着いた声で授業を始めた。
とは言っても、化学が苦手な私には睡魔が襲い掛かる。
午後の化学はつらいよ、先生。
今日は酸化還元の授業だった。
去年も一応はやったんだけど、苦手な人が多いからもう一回やってくれって前任の先生に頼まれたらしい。
阿「ここまでで、わからないところある？」
こっちを振り向いてこてん、と首をかしげて私たちに問いかける。
あざと。
周りの女子が大丈夫でーすと言って、授業はすすむ。
説明は聞いているけど、全く理解ができない。
これ、私だけか、わからないのは…。
半分、あきらめて、睡魔に負けようと思う。
半分寝たまんま。授業はいつの間にか終わり際まで来ていた。
最悪。
ほっとんどわかんない。
明後日くらいに質問行けば何とかなるか。
授業終わりを告げるチャイムとともに
阿「じゃあ、授業を終わります」
阿部先生の声で授業は終わる。
はあ、疲れた。
この後も理系科目が続くとか無理。
早く放課後なればいいのに。
.
.
.
「はあっ」
放課後。誰もいなくなった教室で大きくため息をついた。
今日何度目だろうか。
さっさと家帰って、ピアノしよう。
そう思って、学校を出た。
阿「あ、鈴木さん！」
「阿部先生、」
校門を出たところで呼び止められる。
阿「さっきありがとうね」
「別に、大丈夫です、」
阿「しばらくは寝てても黙っておくよ(笑)」
「ばれてたんですか」
阿「見えるよ〜、先生の授業そんなにつまんない？」
「ん〜、化学、苦手なんで」
阿「そっか〜。文系だもんね〜。」
そう言う先生はどこか悲しそうだった。
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作者名：ひーたん | 作成日時：2020年6月17日 20時
