ねえ、先生。 (ページ6)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:28,944 hit

6 ページ6

阿部先生はいつも車で来ている。

白い小さい車。

なんかマニアとかが持ってそうなちょっとレトロな感じの。

車には詳しくないからわからないけど、

先生の趣味らしい。

車の中がたまに見えてるんだけど、生活感出すぎなんだよね…

車中泊なの？ってレベルでものがあるんだけど…

今度聞いてみよ。

今日は化学の授業がある日。

女子はどこか嬉しそう。

男子は女子のうるささに呆れそうだけど、ごめん、耐えてやって。

ここの女子そういうやつらだから。

私は傍観者で良い。

だって、騒いだら面倒な気がするんだもん。

この日、チャイムが鳴っても先生は来なかった。

女子たちは普通に待ったままだし、誰も動く気配がない。

授業、始まらないじゃん。

はぁっとため息をついて、席を立つ。

周りに気づかれないようにそっと外に出て、職員室に向かう。

けど、そこに阿部先生の姿はなかった。

どこいるの…、

と思うのもつかの間、

あることを思い出す。

阿「おれ、理科室によくいるよ」

そう言っていたことを信じて、別校舎にある理科室に足を進めた。

「あべせんせー」

阿「え、あ？！なんでいるの？」

いや、いきなり来たわけじゃないよ先生、

もう一回ため息をついて、

「先生、私たちのクラスの授業忘れてません？」

そう言うと、

阿「うわ、やらかした！ちょっとまって！すぐ行く！」

そう言って慌てて準備をする先生。

うわーどうしよって少し落ち込んでるから、

「先生、たぶん、うちのクラスの女子は怒らないですよ。先戻りますから来てくださいね」

それだけ言って私はクラスに戻った。