ねえ、先生。 (ページ44)

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“先生、好きです”

こんな言葉を生きている間に言うとは思わなかった。

少女漫画の世界だと思っていた。

だけど現実は違った。

ちゃんと私を見てくれる人で、優しくて、大人で、いい先生で、いい人間だった。

1つの言葉を言っただけなのに、

自分の顔は真っ赤だと思う。

先生は少しびっくりしたような顔をして、少し悲しそうな顔をした。

阿「…君にはもっといい人がいるよ。俺なんかよりももっといい人がいる」

ああ、わかってる。

そう言われることもわかっている。

阿「君がもっと大人になればもっといい人に出会えるよ。今は世界を広げて。」

そう言って、私の頭をなでた。

阿「泣かないでね。俺も頑張るから。」

「せんせ。手紙だけ渡してもいいですか？？」

阿「ん。ありがとう」

そう優しく笑った先生の顔を私はずっと忘れない。