ねえ、先生。 (ページ40)

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3学期最後の授業は、

阿部先生の化学だった。

普段通りに授業をして、最後5分ぐらいになった時。

阿「本当はまだ言っちゃダメなんだけど。君たちが最後の授業だから言うね。」

阿部先生はそう切り出した。

阿「僕は、今年度いっぱいでこの学校をやめます。」

クラス中がざわついた。

阿「…僕は来年度から発展途上国に行って自分が大学で学んできたことを活かすお仕事をします。」

時が止まったような感じがした。

阿「ここで先生をしたのは向こうで子供たちとかかわる時にこの経験が活かせると思ったから。ここの皆は優しくて、たくさん話をしてくれて、本当にいい時間を過ごすことができました。1年間だけだったけど本当にここに来れて良かったなと思っています。」

阿部先生は私たちに笑顔でそう言った。

阿「…今回のテストの最後に僕は皆に夢を聞きました。皆、それぞれがちゃんと将来を考えてて、すごいなと思いました。夢を持つことは格好良いことです。きっと苦しいこともつらいこともこれからたくさんあるだろうけれど、君たちなら大丈夫だと、僕は信じています。」

先生がこの学校からいなくなる、もう会えない、そう思うだけで涙が出そうだった。

でも、泣いたら怪しまれる。

必死に耐えた。

阿「この一年間、本当にありがとう。君たちと出会えて幸せです。いつかまた会えたらいいなと思っています。」

そう言って授業が終わった。