ねえ、先生。 (ページ21)

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ドアをノックすればどうぞ～という声。

「失礼します」

そう言って中に入れば、

この前と同じ、たばこのにおい。

いがいと嫌いじゃない。

阿「さっきのピアノ、良かったじゃん」

私の顔を見ずに先生はそう言った。

「どこが、良かったんですか、」

阿「もう、そんなに自信なさげな声を出さないでよ…」

そう言って先生は眉を下げて笑う。

阿「なんか、飲む？」

「なにがあるんですか、？」

阿「といってもお茶ぐらいしかないや」

いい？そう聞く先生に私は頷いて返した。

阿「さっきまで泣いてたでしょ、？」

私の目を見て心配そうに聞く先生。

「泣いてないです、」

阿「もうちょっと嘘はうまくついてよ(笑)鼻が真っ赤なんだよ(笑)」

「すみません、」

阿「落ち着くまではここいて良いよ。俺は自分のクラスに行くね」

阿部先生はクラスを持っている。

赴任1年目にして担任だ。

だから、いかないといけないのもわかっている。

だけど、行ってほしくなかった。

でも、“行かないで”そんなことを言ったら先生を困らせてしまう。

阿「すぐに戻ってくるから。俺がいない間に戻りたくなったら鍵もそのままで良いよ。お茶はあげる」

そう笑って先生は部屋を出ていった。