ねえ、先生。 (ページ20)

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文化祭前日。

学校の飾りつけとか、ステージ発表の流れの確認とか。

私のピアノもリハで弾くことになった。

だけど、ぜんぜん上手に弾けなくて。

ひとり、舞台裏で、誰もいないところで、

悔しくて泣いた。

ひとりで弾くのは嫌いだ。

怖い。

だって、ここには、味方はほぼいないんだから。

目立ちたがり屋だって言われて、

たいして上手じゃないのにといわれて

笑われるんだ。

望む言葉は望んだらだめだよ。

何度も自分に言い聞かせているのに。

求めるのは私がばからしい。

A「大丈夫、？」

「あ、ごめん。どくね」

生徒会の子に心配されて、私はその場から離れた。

涙は止まったけど、今の私は鼻が真っ赤だろう。

あまり見られたくない。

どこかに隠れたくて、

どこかに逃げたくて

落ち着ける場所が欲しくて。

でも学校にはそんな場所がなくて。

渡り廊下にとりあえず出た。

通る人もそんなにいないから、あまり見られない。

そう思っていたのに。

阿「いたっ！」

どうして、貴方はこういう時に来ちゃうんですか。

どうして、先生は、こんな時に来てくれるんですか。

驚いて顔を上げた私をみて、

阿「いつもの場所、おいで」

優しく微笑んで、先行ってるねって言って前を歩いていくの。

ずるいよ。

私ばっかり好きが積もりそうになる。