ねえ、先生。 (ページ17)

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「多少の無理はしてなんぼです。」

質問の答えにはならない解答。

阿部先生も困り顔。

阿「わかった。深くは聞かないから。でも、あんまり、無理しないでよ」

「どうしてそんなに先生は優しいんですか」

阿「ん？先生としては生徒が苦しい顔してたらそりゃあ心配だからだよ」

そうだ。

私と先生はただの生徒と先生の関係で、それ以上でもそれ以下でもない。

私だってそれぐらいわかってる。

なのに今、それ以上のことを望もうとした。

「失恋しました」

私はそれだけ言って部屋から出た。

そのあとの先生は知らない。

.

.

.

そのまま夏休みを迎え、

二学期はすぐに始まった。

とはいっても私は学校に行っていない。

海外に行ったからだ。

もともと決めていたし、

日本との文化の違いがたくさんあって、

こっちのほうが居心地が良かった。

日本のことを忘れて、

ただただ楽しんだ。

帰国直前に課題に追われたのは内緒にして。

帰国後、学校に行けば

海外のことどうだった？って興味本位で聞かれるぐらいで、

別に普段仲良くないのにこういうときだけ来るよなって少し笑ってしまう。

学校は文化祭の準備の真っただ中で、

少し浮ついている。