ねえ、先生。 (ページ16)

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なんとなくだけど、失恋したのかな。

そんなことを思った。

それからあの女の人も見なくなったし。

まあ、でもこれ以上聞いたら、ダメな気がした。

さすがに、あれ以上悲しんだ顔を見せられるとちょっと苦しい。

これと同じくらいの時か。

いや、もうちょっとした時か。

私は好きだった人に振られたのも。

好きな人いるんだってさ。

ただ一言。

わかってるよ。

その位。

2年間、ずっと追ってた。

２年どころじゃないよ、中学の時からずっとあこがれだった。

好きで好きで仕方なかった。

想いが届かないことぐらいも知ってたけど。

友達が少なければバレることもない。

私はただいつも通りに学校に行って愛想笑いの連続だ。

まあ、それを不思議に思う人が約１名いたんだけどね。

夏休み直前の全員参加型の夏期講習中。

私は準備室に呼び出された。

阿「俺には聞く癖に、君は俺には隠してるつもりでしょ？」

少し意地悪く笑う先生。

「別に、なんもありませんよ。生きてればいろいろあります」

笑って返せば

阿「その顔が無理してるように見えるって言ったら迷惑？」

そう言った先生の顔は今まで見たどの顔よりも格好良く見えた。