縁の庭【北信介】 (ページ10)

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晩ごはんをいっぱい食べて、
信ちゃんの部屋でごろごろタイム。

ふと、信ちゃんの大きなエナメルバッグから、
三色で色彩られたボールが見えました

これがばれーぼーる？

ボールを出してつつくと、ころころと
転がっていきます

つんつん、ころころ

部屋を駆け回って、
いつの間にか夢中になって遊んでいました

『きゅん…？』

そしたらいきなり視界が床から遠ざかって

「こら。物は大切にしいや
むやみやたらに扱ったらあかんで」

お風呂上がりの信ちゃんが、
私を腕に抱えていました

『きゅうん、、、』

信ちゃんにこれ以上怒られたくないので、
やめることにします

「ええ子や」

信ちゃんは私を床に下ろすと、ベッドに
胡座をかいてボールを手に取りました

「これはこうやって扱うんやで」

両手でさんかく窓をつくって、
天井に向かってぽーん、ぽーんと
ボールを上げます

『………きゅう……』

私はしばらくの間ぼう、と見ていました

「お前もやるか？」

ふ、と微笑んだ信ちゃんの隣に私は
すぐさま飛んでいき

受け取ったボールを頭に乗せて、
ぽーん、ぽーんと天井に放ります

「それはリフティングやな」

信ちゃんは珍しく声を上げて笑っていました