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『…!!きゅう、』
目の前に出されたのは、
大盛りのご飯、とその上に乗せられた
たっぷり水分を含んだふかふかの油揚げ
油揚げはわたしの大好物です
思わずぎゅるる、とお腹が鳴ってしまいます
「ゆっくり食べるんやで」
しんちゃんは、油揚げにかぶりつく
わたしの頭を撫でて言うのです
「うまいか?」
『…っ、こふ、』
「ふふ、」
がつがつと夢中で食べ進めるわたしを、
目を細めて見ていて、
…食べているところを見られるのは
少し恥ずかしいのです
「狐さん、喜んでくれたみたいやなぁ、
よかったわあ」
「腹減ってたんやろなぁ、めっちゃ
減るのはやいで」
「ふふ、嬉しいわぁ」
おばあちゃんがいうには、
このご飯はおばあちゃん特製の
「きつねごはん」らしいです
ふたりに見守られながら食べたきつねごはんは、とてもとてもおいしいものでした
おいしいごはん
「しんちゃん」のやさしい、あたたかい指先
いつもにこにこしているおばあちゃん
こんなにも穏やかで居心地の良い場所を、
わたしは今まで知りませんでした
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作者名:yoru | 作成日時:2020年5月4日 23時