縁の庭【北信介】 (ページ12)

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緑深い、森の中

わたしはあるものを探してその中を進んで
歩きます

信ちゃんに、ぴったりなものを
思い付いたのです

しばらく探して、見つれられず

ちょっと休憩して、また探して

それでも見つからず、諦めかけたその時

『…きゅっ、きゅうっ、』

¨それ¨を視界の隅に捉えました

やっと見つけた…！

それを見つけた頃には、
もう太陽が西に沈み始めていました

さて、おばあちゃんと帰ってくる
信ちゃんに心配かけてしまう、早く帰ろう

と思って、後ろを振り返り、気付きます

『……きゅう』

そこに広がるのは、一面真っ黒な暗い森で

自分の通ってきた道が、
分からなくなってしまったことに

．

「おかえり、信ちゃん」

「ただいま、ばあちゃん。
…あれ、あいつはどうしたん」

「それが、午前中に外に出かけていって、
そのまま帰って来えへんの。心配やわ…」

さっき部活がやっと終わって帰ってきたのだが、

いつも玄関で迎えてくれる狐の子が
おらんかった

もう結構夜遅いのに

一体どこに居るんや

「ばあちゃん、俺外見てくるわ」

「おん、気を付けてな」

俺は脱いだジャージを再び羽織ると
あいつを探しに外に出た