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体温なんてないはずなのに、目が熱くなった。ぼろぼろと涙が溢れてくる。
先生はまた頭を撫でてくれた。泣いていることろを見られたくなくて俯くと、透けている自分の足元が見えた。それでまた実感する。
「……私、死んじゃったんですね」
先生は何も言わなかった。
「すごく怖かったんです。熱かったし、痛かったし、苦しかった。息もできなくなって、自分の体が焼けていくのが見えて……気付いたら死んでた」
「……辛かったな」
私はぐしぐしと涙を拭う。
「あーあ、私もおばあさんになって老衰で死にたかったなぁ…………なんて、花子くんには言えないですもんね」
私はぱっと顔を上げて笑ってみせる。無理なんかしていない、先生のおかげだ。
「話くらいならいくらでも聞いてやる」
「へへ、土籠先生はやっぱり優しいですねぇ」
「やかましい」
先生は軽く私の頭を小突いた。
「暴力反対です。でも、先生のおかげでスッキリしました。ありがとうございます」
「そうか、ならよかった」
先生は笑って言った。
「それで、七番サマのことはどうすんだ」
「それですよねー……もう一回ちゃんと謝ろうと思うんですけど、本気で私のこと嫌いになったんだったらもう関わらないでおこうかなー、なんて思ってたり……」
「それはないと思うがな」
「ん? どうしてですか?」
「それ」
先生は私の後ろを指差す。その先には、いつも花子くんの近くにいる人魂のようなものが漂っていた。
「これは確か……白杖代?」
「七番サマも心配症だねぇ」
「心配……?」
「早く戻ってやったらどうだ」
私はよく分かっていなかったが、とりあえず先生の言う通りに花子くんのところを戻ることにした。
「そうですね、とりあえず謝りに行ってきます」
「おう」
「じゃー失礼します! また話聞いてくださいねー!」
「気が向いたらな」
さっきと言っていることが違う先生はきっとツンデレなんだろう。私は先生の優しさを噛み締めて屋上を後にした。
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シズ - 見ながら爆笑してしまいました(笑) 続き楽しみです (2022年8月22日 2時) (レス) @page46 id: 7fbee373af (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - ニコさん» そう言って頂けて嬉しいです! 分かります! 土籠先生攻めいいですよね…ネタがあればまた書こうかなと思います! (2020年3月3日 7時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 好きです!個人的には土籠先生攻めも結構好きです (2020年3月3日 2時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 腐った人間さん» 自給自足の為に生み出したものなので、他の同士にも供給出来て嬉しいです! 正直この作品はノリだけが命なので、そう言って頂けて良かったです! 拙いですが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2020年3月1日 16時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
腐った人間 - あ、好きですショタの供給ありがとうごさいます最高です()ノリがよくてすごく読みやすいです!これからも頑張ってください! (2020年3月1日 15時) (レス) id: a770919e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:被苦人 | 作成日時:2020年2月10日 10時