【孤爪研磨】恐い怖い症。

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合宿の話を聞いてから、ずっとその事について考えていた。


他校の人と仲良く出来るだろうか。


迷惑をかけてしまわないだろうか。



そんなことばかり思ってしまう。




帰り道でも、初対面の人との接し方について考えていた。

まず笑顔は一番大切だろう。練習しておこう。


対人恐怖症だと言うことは話すべきだろうか。

いや、初対面でいきなりそんなことを言われても困るだけだ。



相手の高校には女の子はいるだろうか。

ぜひ、女の子の友達が欲しい。


色々考えているうちに、すぐ家に着いた。




「ただいまー」


玄関の扉を開け、帰宅の合図を告げる。


ふと、見慣れないローファーがあるのに気が付いた。

もしかしてと思い、急いで靴を脱いで、リビングに向かった。



「あ、おかえり。遅かったね」


「やっぱり京くんだ！」



ソファに座っていた赤葦京治は、黒いくせっ毛をふわりと揺らし、こちらに振り向いた。


「ウチ来るの久しぶりだね。どうしたの？」

「部活なかったから寄っただけだよ。久しぶりにAの顔見ようと思って」


京くんは梟谷学園のバレー部で副主将をしている、私の従兄弟だ。


「あそーだ！ あのね京くん、聞いてよ、私ね」


「A、ちゃんと聞くから、先に手洗って来なよ」


「あー、うん」



オカン属性は健在のようだ。


手洗いなんてさっさと済ませてしまおう。

京くんには聞いてほしいとこがたくさんあるんだ。



私はバタバタとリビングを出た。

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