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私はAA、しがない25歳OLである。彼氏いない歴は3年。そう、お察しの通り最後の彼氏とは大学卒業後就職してから自然消滅というよくあるパターンである。学生時代はモテないこともないがよくモテることもない、まぁそれなりにそれなりの生活を送っていた。
そんな私は今とあるアパートで一人暮らしをしている。彼氏もいなければ、地元を出て3年、友達もろくに出来ずに職場と自宅を往復する日々。
これといった趣味もなく、自分を着飾ろうにも遊びに行くこともないため「オシャレしたところで誰も見てくれないしなぁ……」と結局いつも無難な服と無難なメイクばかり選んでしまうのである。
この世に生を受けて四半世紀、もしかして自分の人生今後一生こんな感じなのかもしれない、なんて不安になってしまう夜もある。かといってそれで悩んでいる訳でもない。地元に帰れば友達もいるし、家族仲だって良い方だ。職場だって友達にはなれなかったというだけでみんな良い人たちばかりである。ただ、なんとなくこの現状をつまらないと感じていた。
刺激が足りない、何か面白いこと起きないかな、なんて最近よく考える。付き合うまではいかなくても、久しぶりに恋のひとつでもしたいものだ。人を好きになった時にしか味わえないあのトキメキ。長らく感じていなかったが、ふとあの感覚を思い出して懐かしくなった。私だってまだ25歳、まだいける。と思ったところで如何せん出会いが皆無なのだ。
「はぁ……」
残業終わりの21時半頃。自宅前で鍵を探そうとカバンを漁りながら思わずため息がこぼれた。鍵を探す手を動かす度に腕に提げたビニール袋がガサガサと音を鳴らす。これは「こんな時間からご飯作るなんてだるすぎて無理」という思考のもとコンビニで買った私の晩ご飯である。作れないんじゃなくて作らないの、という弁明だけさせて頂きたい。
ガサガサ、ゴソゴソ、鍵がなかなか見つからない。どうして私のカバンの中はこんなにも散らかっているんだろう。私の心が荒んでいるからか。いやそんなことはない、心はめっぽう健康である。
コツ、と鍵らしきものが指先に当たった。ようやく見つけた。
「はぁ……」
もう一度ため息が出た。なんとなく自分が滑稽に思えてしまい、嘲笑ではなくため息が出たのだ。自分を嘲り笑うのはもっと人生どん底に落ちてからだと決めている。いや、今適当に決めた。
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作者名:被苦人 | 作成日時:2022年9月28日 1時