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「あ、そうだ。もう一つだけ、これはそれほど重要ではないのだけれどね……」
「……何でしょう」
「だるま君、君は中也君とも並ぶ程の戦闘力の持ち主だったね」
「えぇ、まぁ」
「それなら尚のこと君に頼みたい」
首領にしては珍しく、長い前置きだった。
「首領の命とあらば何でも致しますよ」
「これは命令ではないよ。ただの頼み事だ」
そう言って笑う森は、首領と呼ぶには些か穏やか過ぎていた。
そして、これは命令ではなく頼み事。つまり、首領としてではなく森個人としての頼みということだ。
「だったら尚更断りませんよ」
「そうかい、それは嬉しいね」
きっと、森は俺たちのこういう所を信頼しているのだろう。それなら、命令も頼み事も大して変わらないではないか。ただ一つ忘れてはならないのは、全て自分の意思だということだ。
「君に頼み事というのはね、芥川君のことだ」
「……芥川龍之介?」
「嗚呼。芥川君の指導を太宰君がしていたのは知っているね?」
「はい」
「それを是非君に継いでもらいたい」
「でも、芥川はもう十分……」
「彼にはまだ教えを乞う師が必要だ。やってくれるね?」
それが頼み事であることを思い出して、俺は諾と頷いた。
「期待しているよ」
それを聞いて、ふと森に云ってやりたくなった。
「信頼してるの間違いやろ? 森さん」
「……君達3人は本当に厄介だね」
「例え1人でも厄介ですよ、あいつらは」
「ふふ、そうかい。因みになんだけど、君のイエスは3人の総意ということでいいのかな」
「んー、どうやろ。あいつらにも一応聞いときます」
俺は満足して森に背を向けた。すると、森は思い出したように声を上げる。
「あ、そうそう。芥川君に訓練場で待つよう言っておいたよ」
ほら、言った通りじゃないか。やはり森にとって俺たちに対する命令も頼み事も大して変わらないのだ。
「ありがとうございます、首領」
そう言って振り返ると、さっきまで無かったはずの黒い封筒が首領の向かう机の端に置かれていることに気が付いた。俺はその存在について言及せず、黙って部屋を出た。
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被苦人(プロフ) - そるんさん» 待って頂いてありがとうございます!😭😭😭いつも更新遅くてほんとに申し訳ありません😭😭今後も遅くはなりますが、末永くお付き合い願います🙇♀️ (7月4日 23時) (レス) id: dcf9525fc1 (このIDを非表示/違反報告)
そるん(プロフ) - 更新待ってました!!!!!これからも頑張ってください〜!! (6月1日 18時) (レス) @page27 id: 7bb0a126ac (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 凛さん» 大変遅くなってしまって申し訳ありません😭 (5月31日 20時) (レス) id: dcf9525fc1 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 異能力設定ありがとうございました! (5月31日 15時) (レス) id: cf87f55bfc (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 凛さん» ありがとうございます! 3人の異能力設定はふわっとしか決めていない状態なので、またしっかりと決めて詳細を載せたいと思います! しばしお待ちいただけたら幸いです。 (2022年8月24日 12時) (レス) id: 3dd58736bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:被苦人 | 作成日時:2022年8月1日 23時