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それだ。俺が知られたくない理由。どうしてこうも、なるせはいつも的確なんだ。
「…………それやぁ……」
冷や汗が溢れてくる。どうして分からなかったんだ。間違いなくそれだ。あまりの衝撃に言葉が出ない。
「これだいぶ刺さってね? だるま大丈夫かー?」
俺の様子を案じるありさか。
「なぁ……あれ知られたらやばい……?」
「どうやろうなぁ……」
うーんと唸る2人の様子に不安はどんどん大きくなっていく。
「まぁ、知られるんは時間の問題やし、それまでにちゃんとあなたが本命なんだよってこと伝えるしかないな」
真面目ななるせの答えを深く心に刻む。が、少し考えてその言葉を細かく噛み砕く。
「え待ってそれってさ……こく、はく?」
「いやまぁそれはだるまに任せるけどさ、少なくとも俺らはなんではよ付き合わんのやろって思ってるで」
「まじでそう。なるせが全部言ってくれた。何グズグズしとんねんってずっと思ってる」
もう何が何だか、話が追いつかない。とりあえず俺がするべきはAに告白ってことで合っているのだろうか。結構やばいこと言ってる気もするが、もうここまで来ればこの2人の言うことが全て正しいようにも思えてくる。
と、そのときコンコンとこの部屋ではあまり聞き慣れないノックの音が響いた。Aが風呂から上がってきたらしい。俺が誰かと話しているのが聞こえたのか、Aは気を遣って何も言わなかった。
「あ、A上がってきたっぽい」
「それじゃあだるま頑張れよ〜」
「そろそろ恋愛相談も飽きてきたしちゃっちゃと決めてくれよ〜」
なるせの真っ直ぐな激励とありさかの素直じゃない激励をそれぞれしっかりと受け取り、俺はVCを切った。
ゲーミングチェアから立ち上がり、Aのおかげで開閉しやすくなった部屋のドアを開ける。
「お先にお風呂頂きました」
にこりと微笑むAは濡れた髪のせいか、メイクをしていないAの素の可愛さのせいなのか、いつもより色っぽく見えた。
「髪濡れっぱなしやん。ドライヤーやったるわ」
「んふふ、お願いします」
これは優しさなんかじゃない。Aに少しでも触れたいという下心だ。
Aはちゃんと俺が優しいからだと勘違いしてくれているだろうか。
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被苦人(プロフ) - 9日さん» 最後まで読んでいただけて本当に嬉しいですありがとうございます!!後日談の方でもよろしくお願いします!!!😚 (2022年8月3日 18時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
9日 - ハッピーに終わって良かったです😳被苦人さんの小説本当に面白いです!言葉の使い方とか、その人の口調とかがしっかりしているので読みやすいです!後日談楽しみにしています🤧ここまで続けてくれありがとうございましたー❣️ (2022年8月3日 1時) (レス) @page41 id: 1ef4db81f3 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 紫蜘蛛 遊歌さん» 口調などのリアルさだけはこだわってたので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!これからもこの作品をよろしくお願いします!!! (2022年7月26日 12時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫蜘蛛 遊歌(プロフ) - 良!!!!すぎる!!!!だるまいずごっどがだるまいずごっどしててしてて好きです!!!更新楽しみにしてます!!! (2022年7月24日 20時) (レス) @page37 id: c815507bb4 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 瑞稀さん» 夢主ちゃんは最初もっと天然な感じで考えていたのですが、だんだん小悪魔属性になってきてしまいました…笑 これからもこの作品もよろしくお願いします! (2022年7月15日 14時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:被苦人 | 作成日時:2022年6月18日 1時