だるまさんは転ばない！

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手洗いを終えたAはリビングにあるスイのゲージに一直線だった。


｢スイちゃんはじめまして〜。だるまくんの幼なじみのAって言います｣

ニコニコとスイに向かって自己紹介をするA。可愛いスイちゃんと可愛いAでこれは確実に可愛い。｢にゃあ｣と答えるスイとそれに喜んでとびきりの笑顔を見せるAのこの光景はきっとエデンなのだろうと確信した。



｢スイちゃんに挨拶も済んだし、お昼の前に先掃除してもいい？ どうせゲームの部屋は大変なことなってるんやろ〜｣

｢なんかAに部屋の掃除されんの恥ずかしいな……｣

｢なんでよ〜、地元おったときはたまにやけど掃除しに行ってたやん｣

｢いや、あれは実家やったからまだマシやった｣

｢あ〜、そういえばだるまくんのお母さんが掃除しに行ってあまりの汚さに泣きそうになったって言ってた｣


やはりAにまでその話が伝わっていたか。


｢いやほんまそのレベルで汚いから……｣

｢大丈夫やって、久しぶりにだるまくん孝行させてよ｣


“だるまくん孝行”という不思議な言葉に違和感を抱いていると、掃除している間にお昼ご飯作ってよ、まただるくんのオムライス食べたいな、と上手く丸め込まれてしまっていた。


PC周りはあまり触らないで欲しいと伝え、あとはAにお願いすることにした。

Aにゴミ袋やらを渡して、俺はキッチンに立つ。
冷蔵庫を開けてみるが、ここぞとばかりに何も無く、これ見たらA心配しそうやなぁと苦笑いを零す。Aに少し買い物に行く旨を伝え、俺は財布と携帯だけを持って家を出た。

自分の作ったオムライスを美味しそうに食べるAの姿を想像して、マスクの下で口角が自然と上がっていた。

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