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「A、久しぶり」


ぱっと振り返ったAは嬉しそうに微笑んだ。


「だるまくん! 久しぶり!」


花のような笑顔、あまり背の高くない俺でも見下ろせるくらいの背丈、ふわりと揺れる少しくせっ毛のセミロング。
あぁ、本当に好きだ。しばらく離れていたことで余計にそう感じる。


抱き締めたい衝動で出てしまった手を誤魔化すようにAの頭の方へ持っていく。


「相変わらずちっちゃいなぁ〜。また縮んだんちゃう?」

「ふふん、今年の健康診断で2ミリ伸びてましたぁ」

「頭の皮分厚なったとか?」

「ん゛ふっ……いやおかしいやろって!」


俺はAの楽しそうな様子を見て心底安心していた。何となく久しぶりで気まずくなったらどうしようと考えていたが杞憂だったようだ。


「それ重たいやろ、貸し」


Aは引いていたキャリーケースを俺に渡して、ありがとうと微笑んだ。


「だるまくんも相変わらずやなぁ。こっちでようけモテてんちゃん」

「いやいや、全然外出んから何もないって」

「ふ〜ん」


含みのありまくるAの相槌に少しの不安が込み上げた。


「ま、まぁとりあえずどうする?」

「どっかでお昼食べてもいいけど、先だるまくんのお家に荷物置いてもいい?」

「そうね、行くか」


こっち、という意味でAの腕を引く。さすがに手を繋ぐ勇気はなかった。


「どうせだるまくん部屋汚いやろし、まずは掃除やなぁ」

「……否定できん」

「んふふ、猫ちゃんにも会いたいし。たのしみやぁ」


俺はルンルンで話すAがこの人混みではぐれてしまわないようにずっと腕を引いていた。それがいつの間にかAの方から俺の腕を掴んでいたことには、恥ずかしくて言及なんて出来なかった。

にやけそうになる口元を抑え、俺は真っ直ぐに前だけを見る。

あぁ、Aは今どんな顔をしているんだろう。

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被苦人(プロフ) - 9日さん» 最後まで読んでいただけて本当に嬉しいですありがとうございます!!後日談の方でもよろしくお願いします!!!😚 (2022年8月3日 18時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
9日 - ハッピーに終わって良かったです😳被苦人さんの小説本当に面白いです!言葉の使い方とか、その人の口調とかがしっかりしているので読みやすいです!後日談楽しみにしています🤧ここまで続けてくれありがとうございましたー❣️ (2022年8月3日 1時) (レス) @page41 id: 1ef4db81f3 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 紫蜘蛛 遊歌さん» 口調などのリアルさだけはこだわってたので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!これからもこの作品をよろしくお願いします!!! (2022年7月26日 12時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫蜘蛛 遊歌(プロフ) - 良!!!!すぎる!!!!だるまいずごっどがだるまいずごっどしててしてて好きです!!!更新楽しみにしてます!!! (2022年7月24日 20時) (レス) @page37 id: c815507bb4 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 瑞稀さん» 夢主ちゃんは最初もっと天然な感じで考えていたのですが、だんだん小悪魔属性になってきてしまいました…笑 これからもこの作品もよろしくお願いします! (2022年7月15日 14時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:被苦人 | 作成日時:2022年6月18日 1時

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