マイペースな後輩に懐かれた【国見英】

英から着信があります ページ49

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既読がついたかと思うと、スマホが震え出す。



ピッ


『もしもし』

「A先輩…」

『ありゃ、そんなに怖い夢だった？』

「はい」

『どんなの？』

「A先輩が、俺の側からいなくなる夢…」

『はい？』

「先輩がどうしたら俺のとこに戻って来てくれるのか、必死に考えたけどどうにもならなくて」

『ストップストップ、それ夢だからね』

「これは夢だって安心したくてA先輩に連絡しました。…夜中にすみません」

『ううん、私は全然大丈夫。…にしても、何でそんな夢見ちゃったかなあ』

「それは…」

『あれ、思い当たる節あり？』

「最近、先輩が卒業した後のこと、考えるんです」

『んん？』

「A先輩は3年生だから、来年の春にはもう大学生で。そしたら今みたいに一緒にいられないなって。…そしたらちょっと寂しくなりました」

『何、そんな可愛いこと考えてくれてたの？』

「先輩はそう思わないんですか」

『そりゃ、寂しくないって言ったら嘘になるけどさあ』

「じゃあ…」

『でも、卒業しても私は英くんにたくさん会いに来るつもりだし？進学先も地元の大学だから、遠距離なんてことにもならないよ』

「……！」

『どう？ちょっとは安心した？』

「…少しだけ」

『あはは、そりゃー良かった。じゃ、明日に備えて今日はもう寝な。私も寝るから』

「分かりました…おやすみなさい」

『うん、おやすみ。…あ、英くん』

「はい？」

『……愛してるよ』



そこまで言って、通話終了のボタンをタップした。


言い逃げってやつ？
深夜テンションこわぁ…

いいや、もう寝ちゃえ。
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翌日の朝、深夜の電話を思い出して一人で激しく後悔したのは別の話。
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その日の昼休み、屋上でいつも以上にべったりとくっついてくる、甘えたな英くんがいたのはまたさらに別の話。



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