マイペースな後輩に懐かれた【国見英】

親密度37 ページ37

次の日、屋上には行けなかった。

英くんは不審に思っただろう。何かメッセージが来ていたが、開かなかった。

具合が悪そうに見えたのか及川から声をかけられたが、大丈夫だと笑って誤魔化す。


授業が終わったらバレーを観に行くこともせず、真っ直ぐ家に帰る。気づいたら寝落ちていた。ゲームも手につかなかった。
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目が覚めると翌朝で。丸1日経ったので少しスッキリしていた。


学校に着くと、下駄箱のところに座り込んでいる人影がある。その顔には見覚えがあった。

『英くん…』

「先輩」

むすっとした表情。ああ、昨日のことを怒ってるんだろうな。

「ちょっと来てください」

『ちょ、授業は？』

「それどころじゃないです」

英くんに腕を引かれるままに足を動かす。さすがに授業を受けなければと思ったが、男子高校生の腕力侮るなかれ。負けました。

薄々感じていたが、着いた先は屋上だった。

「昨日なんで来なかったんですか？返信もないし、俺、何かしました？」

『ううん、英くんは悪くないよ』

「じゃあなんで、」

『私が一方的に、ね、ごめん』

「言ってもらえなきゃ分かりません」


そんなことを言われても、何と伝えていいのか分からない。今さら好きです、なんて言う？英くんの気持ちは離れてしまったかもしれないのに？

『彼女、できたんじゃないの？昨日告白されてたの、聞いちゃったんだ』

気づいたら口をついていた。瞬時に後悔した。

「え」

英くんは目を見開くだけで何も言わない。

否定、してくれないのかな。ダメだ、泣きそう


『やっぱそうなんだ。ごめんね、彼女さんに悪いから私はこれで』

情けない顔を見せないように、下を向きながらそれだけ言ってその場から去ろうとした。


…できなかった。

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