マイペースな後輩に懐かれた【国見英】

親密度36 ページ36

「あの、国見くんのことが好きです」

きっと聞いてはいけないものを聞いてしまった。一刻も早くこの場を去るべきだ。自分に言い聞かせる。

でも、だけど。

英くんが何て答えるのか、知りたいと思っている私もいる。


結局、その場にとどまることを選んでしまった。



沈黙が続く。英くんは何て答えるんだろう。気がつけば両手をぎゅっと握りしめていた。知らないうちに力が入っていたらしい。


…何をこんなに緊張しているんだろう。


「ありがとう」


聞こえてきたのはそんな声で。思わず陰から覗くと、女の子に優しい笑顔を向けている英くんがいた。


心臓が、痛い
何かが突き刺さったような、鈍い痛み



続きは聞きたくない。思わずその場から立ち去る。


…なんだ、答え出てるじゃん。


好きだって言ってもらえて、浮かれて、自分の気持ちに気づかず先延ばしにして。アホみたいだ。嘲笑が零れる。


英くんが待っててくれる保証なんてどこにもなかったのに。



私に、さっきの女の子に嫉妬する資格なんてない。







たとえ私が、英くんのことを好きだったとしても。

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