【黃紫、緑桃】甘い空気はもう沢山！【赤青、黒橙】 (ページ28)

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にじゅよん！ページ28

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side.深澤

思ったより恨みがましく話しちゃったな。
つい考えちゃうんだよ…父さんから言われた『お前が生まれたせいで母さんは死んだ』。
俺がいなかったら母さんは生きていたの？父さんも“普通”のままだったの？
俺が家族を壊したのかなって。

深「ほれ、落ち着いたならラウの話も聞かせてよ。」

人を助けるのは罪滅ぼしのためだなんて、誰にも話せないけど。
両親のことを不幸にしてしまったからせめて俺より下の子たちは…
未来を担う子たちの幸福は護りたい。自己満足、エゴだってこともわかってるけどさ。

ラ「ぼ、僕の話なんてふっかさんに比べたら全然だよ…？」

深「そんなん人それぞれなんだから苦しさ比べてもしゃーないでしょ。
ラウのつらいことも話してよ。」

でも俺のエゴやなんかはこの子たちには関係ないから。
だから醜い心を隠して、“優しい大人”を演じるんだ。
ごめんね、俺本当は結構醜くて汚い奴なんだ。

ラ「僕、親と喧嘩したんです。」

ほう。親子喧嘩か。それくらいならよくある話だけど。

ラ「だいぶ前から両親の喧嘩が絶えなくて、
ママは僕と2人になるとパパの愚痴しか言わなくなってて。

一応僕も高3だから進路の話をしたかったんだけど
ママの愚痴が止まらなくて聞いてくれなかったの。
それでつい強めに“話聞いてよ”って言ったら“まだ私が話してるでしょ”って。

どうせいつまでも続いて、愚痴が終わったら席を立っちゃうから
こっちの話なんて聞こうともしないくせにって、なんか凄い腹立っちゃって…」

深「で、家出したのか。」

こくん、と小さく頷くラウール。100パー親が悪いじゃん。
夫婦喧嘩も愚痴も子ども目の前でするとか意味がわからん。
どうして親という生き物は身勝手な奴が多いのだろう。子どもは親の持ち物じゃないのに。

ラ「家出自体はちょっと前から考えてて準備してたの。
喧嘩にも愚痴にも耐えられなくなってきてたし、
たまに僕にも怒りの矛先が向くのが本当に怖くて。

その1件が着火剤だったというか、トドメだったというか。
ごめんなさい、くだらない理由で。」

深「だから、理由の重さとか苦しさの対比とか要らないって。
当の本人がつらかった、それだけで充分だよ。いっぱい耐えてきたんだね、頑張ったねぇ。」

大きな瞳に一度引っ込んだはずの涙が滲む。“耐える”がつらいのはよく知ってる。
だから救ってやりたいと、そう思うのはやっぱり俺のエゴなのかな。

深「じゃあ、俺が親代わりになってやろっか？」