じゅーきゅー! ページ23
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女「ほもとかキモいじゃん!」
きゃあきゃあ燥ぐ女の子たちが放ったその言葉に愕然とする。
そういうこと言う人、本当にいるんだ。しかも公共の場で、大声で。
佐「…あの子達、駐車場に居た。」
佐久間くんが集団を見つめたままぼそりと呟く。
じゃあ、岩本くんとふっかさんのやり取り見てたってこと?
ていうか佐久間くんよく見てたな、よく気付いたな。
僕が“そう”なわけじゃないけど、大事な人を悪く言われた気がして
未だ僕らに気付かない女の子たちに声をかけようと前に踏み出す。
が、目の前に白い腕が伸びて止められた。
佐「らう。」
ラ「でもっ…」
佐「だいじょぶ。右見てみ。」
頭に『?』を浮かべて横を見る。
と、見たことないほど真顔なふっかさんがそこにいて。
思わず怖い、と言いそうになってしまった。
深「ねぇきみたち、ちょっといいかな。」
女「はい…?って、きゃっ!」
近付いて声を掛けてきた相手が誰だか認識した途端、
女の子たちは目を見開いて小さく悲鳴を上げた。
ふっかさんは笑みを浮かべてはいるけど、目が笑ってない。
深「そういう偏見、外で大声で話さないほうが良いよ。
思うのは自由だけど…俺みたく、怒る人もいるだろうからさ。」
ふっかさんの声が一段低くなって女の子たちが震える。
昨日今日だけでなく学校でも常に笑顔でいるところしか
見たことがなかったから僕もびっくり。
佐「ふっかのあれはさ、自分が言われて嫌なんじゃないんだよ。」
ラ「え?」
横からの声に視線を戻すと、佐久間くんはひとつ肩を竦めて
首を傾げる僕に補足説明をしてくれる。
佐「ふっかは嫌なんだよ、
周りの…違うな、彼奴の視界に入る人が不幸なのが。
だから人を傷付けることを言えば当然のように怒るの。
その言葉の行き先がふっかの大事な人なら尚更。
…彼奴は、教師に本当に向いてんだよ。頭はよくないけど。」
あぁ、だから…困っている僕が視界に入ったから助けてくれたのか。
呆れてるようでいて、ふっかさんを認めてるのだとわかる
声と言葉についついくすりと笑ってしまう。
深「何か不快だったなら、陰口みたいに言いふらすんじゃなくて本人に言いな?
言われる側は陰口言われてるって気付いたときの方が
直接言われるより傷付くもんだからさ。わかった?」
今度は優しく諭すように。養護教諭らしい声。
声色と言葉の使い方が巧すぎる。
相手が必死にこくこく頷くのを確認して、
ふっかさんは満足そうに笑って僕らのもとへ戻ってきた。
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作者名:yoa | 作成日時:2021年10月28日 19時