いち! ページ3
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side.ラウール
ラ「まぁ…偏見はまったく無いですけど…?」
深「うん、ならいいんだわ。」
そう笑って、目の前の豪邸の扉に手をかけるふっか先生。
誰が名付けたのかそんな渾名で呼ばれるこの先生が、
正直僕は少し苦手だった。だって住む世界が違う。
陰キャな僕と違ってこの先生の周りにはいつも沢山の人がいて
その人達はみんな笑顔でいるんだ。そういうの、凄いけど、苦手。
深「ただいまー。」
扉を開けて、そう中に声をかける先生。
すると中から柔和そうな細身の男性が出てきた。
「ふっかおかえり。」
深「あれ、阿部ちゃんだけ?」
阿部ちゃん、と呼ばれたその人はふっか先生より背が高く、
とても綺麗な人だなぁ、とぼんやりと思った。
阿「いや、舘さんが夕飯の準備してて翔太が手伝わされてる。
康二が目黒迎えに行ってて、照と佐久間はダンス。
…で、その子のことは突っ込んだほうが良い?」
柔らかい瞳が僕を捉えた。
綺麗な瞳に見つめられて、なんだか逸しちゃいけない気がしてくる。
ふっか先生が肩を竦めながら言った。
深「突っ込まなくていいよ。どうせわかってんじゃん。」
阿「はぁ…佐久間もだけど、あんまりそういう無責任なことしないでよ。」
深「へいへい、お小言は勘弁。
とりあえずこいつ濡れてるからシャワー浴びさせてやってよ。」
わけがわからないままに進む会話。
知らない人突然入ってきても
全く動じる様子のなかった阿部ちゃん(?)さん。
不思議に思っているうちにお風呂場に押し込まれてしまった。
深「着替えは適当に置いておくからそれ着て。」
ラ「あ、いや、一応鞄の中に入ってるので大丈夫です…」
深「ん、わかった。また何か要るもんあれば言いな。」
そう言って笑って、ふっか先生は脱衣場を去っていく。
変な人だ。だけど__案外あの人の傍は、居心地が良いかも知れない。
あぁ、だからみんな彼の側に行くのかな。
ラ「…ふぅ。」
とりあえずシャワーを浴びて上がって、
改めて脱衣場を見渡してみる。洗濯機が2台あるという衝撃の光景。
何人住んでるんだろう、この家。
洗面台に歯ブラシが並んでいる。あれを数えればわかるかな。
ラ「いち、にぃ、さん……はち?」
8人。多い。いやでも大家族とかだったらありえるのか?
でもふっか先生と阿部ちゃんさん(仮)は同い年くらいに見えたし…
「くくっ、あはははっ」
突然後ろから楽しげな笑い声が聞こえて肩を震わせる。
恐る恐る振り返ってみると___
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作者名:yoa | 作成日時:2021年10月28日 19時