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prologue ページ1
西暦―――年
「―――ちよ!」
「いち様」
多くいる兄達よりも私の名を呼ぶ優しい声が好きで、
彼を見つけて駆けてそばに寄る時が、
幼い頃いっとう好きだった。
うつけと呼ばれる13も上の兄は、
いつも何を考えいるのか全く分からず、
私にとっては近寄りがたい存在だった。
彼とはみっつしか違わず、兄よりも親しい存在で、
でも読書をしている姿は兄よりも大人びて見えた。
「わたしね、ちよと夫婦になりたい!」
そう言うと、彼は眉を下げて笑って、
「いち様には、信長様が良い相手を見つけてくださいますよ、」
と言うのだった。
思えばあれが初恋だったのだろう。
年月を重ね、兄の命で別の人に嫁いだが、
今際のときに思い浮かんだのは、彼の笑顔だった。
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作者名:まる | 作成日時:2022年9月23日 16時