Fidelity in Love 〈アンナチュラル〉 (ページ11)

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三澄「UDIの三澄です。至急のご連絡です――」

出勤して、三澄さんのアナウンスが建物に響いていた。

「……大変なことになってきた、」

慌ててUDIの事務所に入る。

「三澄さん…！」

わたしの後に続いて、神倉所長が走ってきた。

神倉「MERSってどういうこと…！」

三澄「ご遺体を預かった時点で、死後200時間たっていました」

「…なら、体内のウイルスは死んでいる…。

でもMERSって中東じゃ…」

三澄「それが行ってたの、サウジアラビアに…！

帰国してから風邪の症状も出ていた」

三澄さんが状況をみんなに説明している途中、判別できる機材を持っているというスタッフが声をかけてくれた。

＊＊＊

『速報です。国内で死亡した30代の男性の体内からMERSコロナウイルスが検出されました』

ニュース番組が速報を伝えている。
ウイルスの症状や対策を、専門家らしきおじさんが喋りおわると、神倉所長の記者会見にうつりかわった。
それを、UDIラボのスタッフみんなでみる。

神倉「正確な死因を知るということは、皆さまの命を守るということでもあります。法医学は未来のための医学です」

「良い事言うなあ、所長…」

神倉所長の話が終わる前に、スタジオに切り替わってしまった。

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