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＊
『っと、ごめんね』
「……」
NPCかな。男の子とぶつかったけど無言で去っていった。
先程、合流したヨルコさんからご馳走してもらったシチューが消化されたのか程よく体が軽い気がする。
夜も更けた時間帯、日中より濃くなった霧の中
いつものローブを目深に被り、人気の無い広場を素通りしてある場所へと向かった。
【十字の丘】
主街区のラーベルグから少し離れた場所にひっそりと存在する丘。
風化し、花のひとつも咲いていないこの場を枯れ木と枯れ葉ばかりが占めていた。
そこには十字架を思わせる捻れた低木が1本と、その前に墓碑と剣だけが安置されている。
少し離れた場所から隠れるようにそれを眺めた。
ふと、索敵スキルが何かを探知する。
木の影で隠れながら走査するとヨルコとカインズだと言うことが分かった。
2人が動いたってことはそろそろかな。
再び索敵スキルに何かが反応。
今度は知らないコード。私は即座にそちらへ跳んだ。
気配的には頭では無い。でも、末端でも奴らに近づけるなら構わない。
私は近くなっていくのと同時にダガーの柄に手を添え
シルエットを捉えた瞬間に引き抜いた。
『動くなｯ……て、キミは』
ディティール・フォーカス・システムの作用で鮮明になった人物の姿。それは
「……」
先程、主街区でぶつかった男の子が無防備に尻もちをついている姿だった。
『NPCじゃ、ない？』
カーソルは……緑色か。
なら無関係……いや、奴らの中には情報や物品の流通を主とした緑プレイヤーもいる。
しかも、こんな時間帯にフィールドにいること自体がおかしい。
長い前髪が彼の目を隠し表情が読み取れない。
けど、かすかに手が震えていたことに気づき私はハッと我に返った。
『……えっと、驚かせてごめんね。お父さんやお母さんは？』
私は彼と目を合わせようとしゃがみ問いかける。
男の子は俯いたまま横にカブリをふった。
返ってきた否定の返答に困ったぞと頭をかく。
『じゃあどうやってここに？』
「……おねえさんをおいかけて」
『？どうして』
男の子は一瞬口ごもるとオズオズとこちらを見上げて、言う。
サラリ、癖の無い前髪が流れて……
「……なつかしい感じがした、から」
『っ』
前髪からのぞく目を見た瞬間、私の体に衝撃が走った。
麻痺ダメージとかじゃない。
システムエラーでもない。
ただ似ていたから動けなかった。
『───』
無意識に名前を呟く。
＊
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シオン(プロフ) - 続き待ってます (2021年10月20日 18時) (
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