ノヴィルーニオ・ストーリア【SAO】 (ページ34)

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「は、離せよ！どうする気だよ畜生！！」
無言のまま、棒立ちの男たちの中央まで来ると彼女の背中を軽く押した。
よろけ跪く姿は先程の毒々しさは無い。
橋の向こうからキリトもやって来て、腰のポーチから青い結晶体を取り出した。

「これは依頼主が全財産をはたいて買った転移結晶だ。
黒鉄宮の牢獄エリアが出口に設定してある。
アンタら全員これで牢屋(ジエイル)に跳んでもらう」
そこまですればあとは《軍》の仕事だ。

地面に座り込んだロザリアは数秒押し黙ったあと、紅い唇に強気な笑みを浮かべ、言った。

「もし、嫌だと言ったら？」
そう言った彼女の前に私はゆっくりとしゃがみこみ、目線を合わせて言った。

『その言葉に命をかけるなら、私たちもそれに応えるよ』
満面の笑みを浮かべ優しく口にした私の発言は、言葉を簡単にすると“逆らうなら容赦しない”。
ロザリアもそれを読み取ったのか今度こそ顔が恐怖に染まる。
彼女の視線が私の目に移り

「あ、アンタもしかして《青い月の死神》……！？」
彼女の言葉に私は威圧の笑みを浮かべた。

ロザリア達を転移結晶で牢獄へと送った後、その場に小鳥とさえずりと小川のせせらぎののどかな音が戻ってくる。
怒涛に起きた出来事に動けないシリカを目にキリトはどうしたものかと頭をかいた。
私は彼女の前でしゃがむと恐る恐る見上げた。

『……えっと、ごめんね。
シリカちゃんを囮にするようなことになっちゃって。
私たちのこと……キミに怖がられると思って…言えなかったの』
シリカは発言こそ無いものの、必死に首を横に振り怖がっていないことを伝えてくれた。
それを知り安堵し詰まっていた息を吐く。

「街まで、送るよ」
そう言い歩き出すキリト。
私も体を起こしているシリカに手を差し出した。

「行こうか」
「はい！」
彼女は目に涙を浮かべながらも、迷わず私の手を取る。

花の香りが優しく私たちの背中に触れ流れていった。

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