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黒色のクリスマスイブ ページ17





『………で?そのクエストで欲しいレアアイテムが出るからレベル上げすると』
このアリ谷で武者修行ですか、ふーん。

ソードスキル発動後の硬直時間で動けない相方に攻撃してきた巨大アリに向かってナイフを放つ。
クリティカルヒットしたようで砕けて消えた。
周りのアリ型モンスターに目配せしながら硬直が解けた彼に冷ややかな目を向けた。

「ッそれくらい 敵のレベルが高いんだって!」

『へぇー。…あ、(やっこ)さん来たよ』
「Aも戦えよ!」
『疲れましたー』
「HP全然減ってねぇだろ!」
『精神的にでーす』

コントとも言える私たちのやり取りは、殺伐としたこの狩場ではかなり浮いていた。
不真面目なのは主に私なのだが。
何が楽しくてクリスマスイブに戦闘狂(バーサーカー)よろしく状態なのか。
目の前で剣を振るう彼に声をかけられ軽い気持ちでパーティー申請を受けたのが1ヶ月と少し前。
まさかこんなに長期間も共にするとは思わなくて内心 焦ってもいた。
ことある事にフィールドへ連れ出すこの男に殺意を覚えた時もあったっけ。
今じゃ諦めてるけど。
それも全て、今日の24時ちょうどに出現するというフラグMODと戦うためらしい。
私は攻略にも参加していたのにこの男は……あ、また殺意が。

試しに当たるか当たらないかでナイフを投げてみた。
当然、それは彼に当たることなく敵にあたる。

「ぉわぁ!」
『後方注意ー』
「…今、当てる気なかったか?」
『えー?なんのことかなー?』
「おい!」
視界の左端に表示されたタイマーが57分を回るのを視認してキリトに撤収の準備をするよう指示する。
荒々しく返ってきた返事にまたため息をつきつつ目の前のアリモンスター達に向き直る。

『ちょっぱやで終わらせるぞーっと』
宣言通り、アリの群れは1分弱で全滅させた。



レベルアップのファンファーレを聞きながら自身のパロメーターを確認する。

『お疲れ様』
背中に帯刀するキリトにポーションを投げて渡すのも忘れない。

「Aは今、レベルどれくらい?」
『えーっと……69、かな。キリトくんは?』
「今70になった」
得意げに言うキリトに引き気味に呟く。
戦闘狂…
弾かれるように反論するキリトの発言に私は耳を疑った。

戦乙女(ヴァルキリー)!?』

「攻略でアスナと共闘している内についた二つ名らしいぜ」
まさか、そんな名前がついているなんて…。
私は落胆し肩を落とすのだった。


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シオン(プロフ) - 続き待ってます (2021年10月20日 18時) (レス) id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スピカ(しゃっぽ) x他1人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年10月6日 11時

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