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ドアの前で俺は少し躊躇った。
こんな夜中に知り合いとはいえ女性の部屋を訪ねたことがクラインに知られたらどうなるか。
考えたくないな。
……コンコン
応答が無い。寝ているのか?
次のノックで無反応だったら諦めよう。そう決めてまたドアを叩いた。
『…………………だれ』
小さく返された応対に俺はすぐに名前を告げた。
数秒して開けられた扉の向こうから当然目的の人物が現れるわけで。
しかし、いつもの明るい雰囲気はどこへ消えたのか、今の彼女からは生気を感じなかった。
俺はギョッとして目を彷徨わせる。
まるで、あの時の俺を見ているような感覚に俺は嫌な予感がした。
『どうしたの?』
彼女の声に覇気が無い。
「えっとさ、クラインたちが一緒に飲もうって。
…あ、アスナもいるし!Aもどうかなって」
咄嗟に出た虚言。
もし誘いに乗ったらどうしようという考えは今の俺には無かった。
『ありがたいお誘いだけどごめん。
私は止めておくよ』
彼女は笑っているつもりだと思うけど、無理しているのは俺の目にも明らかだ。
彼女の目が伏せられる。
いつもの明るさとのギャップでどこか脆く儚げに感じる。
今にも消えそうな目の前の少女を留めたくて、思わず手を伸ばした。
その手は彼女の頭に触れ、柔らかな髪を滑る。
思いのほか柔らかい髪に驚きつつも出来うる限り優しく手を動かした。
彼女の体が傾き、俺の肩に触れた。
近い距離に己の体に緊張が走る。
『…………ごめん、今だけ、肩……貸して』
か細い声に俺は快諾し濡れる肩に何かを察した。
撫でる手をそのままに部屋の中に目を向ける。
床に落ちるナイフが視界に入り、さっきとは違う緊張が頭をよぎる。
──「彼女を守ってあげて」──
戦闘での強さと普段の振る舞いから勘違いしていたが、彼女も普通の女の子でこのゲームの被害者なのだ。
肩に乗る温もりが俺の心に染み渡る。
この温もりを、俺は守りたい。
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シオン(プロフ) - 続き待ってます (2021年10月20日 18時) (レス) id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
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