side K ページ15
＊
俺のせいでサチが死んだ。
あの時、俺が情報提供を疎かにしていたから……。
自分を責める俺をAは もういいから、と抱きしめてくれた。
あの時の温もりが無かったら、俺はきっと自暴自棄になっていただろう。
あれ以来も彼女は変わらず接してくれている。
その優しさに救われていることに彼女は気づいて……いや、きっと無意識だろうな。
今日、フロアボス攻略に赴く彼女の後ろ姿を見た。
女性プレイヤーの中では長身の彼女はアスナと並んだこともあり結構目立っていた。
本人たちは気にしていないみたいだけど。
「貴方が黒の剣士さん？」
「え」
振り返ると小柄な女の子がいた。
パロメーターから見てプレイヤーと断定。
彼女は俺から視線をずらして見るよう促してくる。
その先は彼女で。
「お願い。彼女を守ってあげて」
私じゃ難しいから。
疑問に感じながらも頷く俺に女の子は嬉しそうに笑った。
可愛らしい可憐な笑顔。
Aは主に中距離タイプだが、接近戦も同じくらい手練だった。
体術スキルと短剣スキルの連撃は凄まじくボスであろうと仰け反る勢いだ。
『キリトくん！』
バックステップと投げられたナイフと並走して俺は飛び出し彼女とスイッチした。
彼女とはソロ同士ともあり何回かパーティーを組んだことがあるため攻撃パターンが何となく読める、気がする。
阿吽の呼吸とまではいかないが、彼女の邪魔にならない戦い方ならできる自信はある。
“Congratulation!!”
頭上に記された電子文字が戦闘の終わりを告げる中、目の端にメッセージメニューを開いているAの姿が写った。
「あれ…Aは？」
「Aさんならまだ
俺のつぶやきを拾ったアスナが背伸びをしながら答えてくれた。
「何か用があるって。それが終わったら上に来るみたい」
そう続ける栗色の髪の少女は眠たそうに口に手を当てている。
礼を言うと彼女は優しく微笑んで転移門で上へと向かった。
俺は最近NPCが口々にしていた噂について話し合いたかったが
「用があるなら仕方ないな」
俺は頬を掻きながら後日に改めようかと考えながらふと今朝のことを思い出す。
──「彼女を守ってあげて」──
茶髪の女の子の言葉が頭をよぎる。
足が彼女が寝泊まりしている宿屋へと向かっている。
行かなければ後悔する気がしたからだ。
＊
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シオン(プロフ) - 続き待ってます (2021年10月20日 18時) (
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