守りたいもの【派生、SAO二次創作】 (ページ3)

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プロローグページ3

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────ソードアート・オンライン(SAO)？

ウチの呟きに目の前の友人は大きくうなづいた。

「VRMMORPG(仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム)っていってこのナーヴギアを被ることによって仮想世界を冒険できるゲーム」

“ナーヴギア”
このゴツめなヘルメットのことを言うのだろうか。
渡されたそれは少し重厚感を感じ防御性は高そう。
様々な角度からそれを眺め、静かにテーブルの上に置いた。

従来のテレビの画面を見ながら手でコントローラーを操作するものでは無く、頭からすっぽりと被ることで脳に直接無数の信号を発し接続することで、
ユーザー(プレイヤー)は己の目や耳ではなく脳内の視覚野や聴覚野にダイレクトに情報が与えられ、まるで直に見聞きしたような体験ができるのだという。
──全て友人の力説による情報だ。

以前から友人が楽しみにしていたというこのSAOというゲームはその最先端をいくスペックらしい。
先着順で初回物は数量限定らしく手に入れられたと興奮気味に発狂していたのが記憶に新しい。
落ち着かせるのに一苦労したのはまた別の話。

で、今回はそのお披露目会としてお家に呼ばれたのだ。

『直接脳内へってことは見てる側は見れないんだね』
ちょっと残念。友人がどのように遊んでいるか見るのを楽しみにしていたのに。
ウチの落胆っぷりに友人はにんまりと口角を上げ、こう言った。

「だーかーらー、刹那にも体験してもらおーというわけなのですよ」
もうすぐ誕生日でしょ？
私からの早めの誕生日プレゼントだと思って！

『え？いいの？！』
どちらかと言うとゲームに疎いウチはそこまでSAOに興味は無い。
だが、この友人が如何にしてこのゲームを手に入れようと四苦八苦していたかは間近で見てきた。
苦労の末に手に入れたSAOを、他者であるウチに先を譲るとかいくら誕生日でも明日は雪が降るのでは無いかと思うくらい意外だ。

「実は2ヶ月前にベータテストがあって、私それに当たったの。
だからもう触りはプレイしてるってわけ」

なんだ、そういうことか。
俗に言う体験版というものを先にプレイしているなら今回の先を譲る発言も納得がいく。
腑に落ちた気持ちにウチの中の罪悪感が薄まった。

内容を知っているということは、ゲームの物語の先も知っているということ。
ウチが多少最初でつまづいても後から十二分に挽回できるってわけた。

やはりゲームのことになると抜かりないな。
変なところで感心してしまった。

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