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ページ10

辛うじて聞き取れるくらいの小さな声で、刹那はぼそりと呟いた。
由唯は物語の内容を思い返してみるが、宰相の息子はまだ出てきていない。

『宰相の―――息子?!』

本を手元に戻し、ぺらぺらとページを繰っていると、刹那に小説を奪い返される。

『あっ……』
「もう―――ダメっ!」
『え〜。その宰相の息子とやらが出るところまで読ませてよ』

粘ってみるが、刹那は小説を胸に抱いたまま首を横に振った。
こうなれば、きっと見せてはくれないだろう―――。

『じゃぁ、なんでその男が良いって思ったの?』
「―――ッ…」

視線を泳がせ、口を開いたり閉じたり…。刹那は、言うべきか、言わぬべきかと迷っている様子。
そんなにも、言い難い事なのだろうか。


たんまり5分は葛藤を繰り返した後、刹那は再び消えそうなくらいの小声でぼそりと答えた。

「なんとなく……由唯くんに、似ている―――から」
『―――……』


想定外の刹那の言葉に、次の言葉を失った由唯。
思考が巡って、自らの頬に熱を帯びていくのが分かる。

(ヤバい―――こんなの、反則ッ!!)

「由唯―――くん?」

片手で顔を覆い、今度は由唯が下を向く。そんな由唯の顔を、小首を傾げながら緑の瞳が覗き込んだ。

『〜ッ!せっちゃん、ズルい!!』
「ええっ?!なんで―――」


―――何で?
じゃないよ。

そんな可愛いコト言って―――
君を…俺の事もっと好きにさせるつもりが、俺の方が刹那を好きになっていくのだから。


『言わないッ』


小説のタイトルは、覚えてる。
今度本屋に探しに行こう……心の中でそう誓った、由唯だった。





月が綺麗ですね 【由唯side】→←├



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鈴桜(プロフ) - バイクレース勝った〜〜!!おめでとうです。続き頑張って下さい。待ってます。 (2021年10月5日 22時) (レス) @page42 id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - シオンさん» コメント有難うございます、温かく見守って頂けると嬉しいです。 (2021年10月4日 22時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 可愛いです。セツにチュウルやっての可愛さがあります。続き頑張って下さい (2021年10月4日 21時) (レス) @page33 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年9月16日 0時

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